2011 Fiscal Year Annual Research Report
真骨類におけるコルチコイドの局所代謝調節メカニズムの解析
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22770053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下部 誠 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (40451893)
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Keywords | 浸透圧調節 / 鰓 / コルチゾル / コルチコイド受容体 / ステロイド代謝酵素 / 11β-HSD / ニジマス / 大西洋サケ |
Research Abstract |
体液の浸透圧調節は生物が様々な環境で生存していくために必要不可欠な調節機能である。広塩性真骨類では、ステロイドホルモンであるコルチゾルが海水および淡水適応に重要な役割を果たしていることが知られているが、同じホルモンであるコルチゾルがいかに淡水と海水という全く異なる環境への適応を制御しているかについての制御機構は全く分かってない。海水、淡水という浸透圧が大きく変動する環境に生息するサケ科魚類は浸透圧調節を解明する上で大変有用なモデルである。 平成23年度は、フローシンチレーションアナライザーを用いて、ニジマスにおける硬質コルチコイド産生能の詳細を明らかにし、真骨類の11β-HSDの役割およびコルチコイド受容体との関わりを解明することを目指す計画であった。しかしながら、平成23年3月の震災の影響でRI室の使用が制限されたことを受け、フローシンチレーションアナライザーの使用を見合わせた。また、ニジマス飼育水槽の破損・修理のため実験魚の飼育にも影響があった。そのため、実験計画の大幅な変更をした。 米国の研究者の協力により、海水・淡水移行した大西洋サケの鰓サンプルを譲り受けた。また飼育に問題のなかったイトヨも実験魚に加えた。それらのサンプルを用いて、2型、3型11β-HSDおよびコルチコイド受容体遺伝子発現を解析し、更に成長ホルモン受容体、プロラクチン受容体の発現変化を解析に加えた。このことにより、コルチゾルと成長ホルモン、あるいはプロラクチンが受容体を介してどのように機能しているかについての考察を進めた。また、In situハイブリダイゼーション法を用いた発現部位解析を集中して実施した。その結果、これまで明らかにされていなかった鯉における2型、3型11β-HSD遺伝子発現部位が明らかになり、鰓における役割を考察する上で重要な結果を得た。現在、それらの結果を論文にまとめている。
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Research Products
(2 results)