2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770060
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
蓮沼 至 東邦大学, 理学部, 講師 (40434261)
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Keywords | アカハライモリ / 求愛行動 / プロラクチン / アルギニンバソトシン / バソトシン受容体 / マウスナー細胞 |
Research Abstract |
繁殖期アカハライモリの雄は雌に対して特異的な求愛行動を行う。この求愛行動発現にはプロラクチン(PRL)やアルギニンバソトシン(AVT)が関与している。PRLのAVT含有ニューロンへの作用を調べる目的で、イモリ脳の器官培養系を用いて、PRLがAVTの放出に関与するかを調べる目的でイモリ脳の器官培養系を用いて解析を行ったところ、10^<-6>MのPRLにAVTの放出活性が認められた。また、脳下垂体を除去した雄イモリにPRLを腹腔、または脳室内に投与し、in situ hybridizationおよび抗AVT抗体を用いた免疫組織化学的手法により、AVT前駆体mRNA発現やAVT免疫陽性反応を解析した。すると、視索前野のAVT産生ニューロンにおいて、PRL投与個体のAVT前駆体mRNAシグナル強度や免疫陽性反応が増強される様子が観察された。これらの結果より、PRLはAVTの放出を促すだけでなく、転写レベル、翻訳レベルでもAVT前駆体の発現に関与することがわかった。アカハライモリAVT受容体cDNAは3種類がクローニングされ、脳には3種類とも発現しているが、求愛行動発現を抑制するバソプレッシンVla受容体のアンタゴニスト([d(CH_2)_5^1,Tyr(Me)^2,Arg^8]-vasopressin)を用いたレポータージーンアッセイにより、VlaおよびV3/Vlbタイプ受容体のシグナルトランスダクション経路が阻害されたことから、これら受容体が求愛行動発現に関わる候補と考えられる。また、in situ hybridization法や免疫組織化学的手法により、Vlaタイプ受容体は求愛行動発現に重要と考えられる視索前野や延髄の第8脳神経根近傍に存在するマウスナー細胞にも発現を確認しているため、特に重要な分子と考えられる。
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