2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770061
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
壁谷 如洋 独立行政法人理化学研究所, 宮城島独立主幹研究ユニット, 基幹研究所研究員 (20462674)
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Keywords | 葉緑体 / 核様体 / DNA分配 |
Research Abstract |
葉緑体は分裂によって増殖する。現在膜分裂についての知見は多くあるが、葉緑体の中身、すなわち葉緑体DNAがどのように娘葉緑体へと分配されるか、理解が進んでいない。近年、DNA結合タンパク質とGFPとの融合タンパク質やDNA蛍光染色試薬を用いた観察により、葉緑体分裂過程で核様体(DNA-タンパク質複合体)が顆粒状から網目状に変化することが観察されている。この核様体の形態変化は、葉緑体中にDNAをまんべんなく広げ、葉緑体分裂面の狭窄により娘葉緑体に確実にDNAが分配する、という積極的にDNAを分配する機構の存在を示唆する。本研究課題の目的は、葉緑体核様体の形態変化の分子機構を明らかにし、それによって得られた情報を基盤として葉緑体DNA分配機構を明らかにすることである。本年度は、今後の研究基盤となる核様体構成タンパク質の同定を先ず行った。シロイヌナズナから葉緑体核様体を調製し、それらの構成タンパク質を質量分析(LC-MS/MS)によって同定した(cpNUC1~41)。そのなかで量が多いいくつかのタンパク質について、DNA結合活性と葉緑体核様体への局在の確認、変異体の解析を行った。そのなかで、cpNUC1は核様体に局在するDNA結合タンパク質であること、DNA凝集能を持つことが明らかになり、葉緑体核様体を形作るタンパク質であると示唆された。このcpNUC1と核様体の形態変化の関連を調べるため、過剰発現体および遺伝子欠損変異体の解析を進めている。
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