2011 Fiscal Year Annual Research Report
液胞型プロトンピロホスファターゼの局在から見る植物液胞形成の仕組み
Project/Area Number |
22770063
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西川 繭子 (佐藤 繭子) 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究グループ, 技師 (80550376)
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Keywords | 植物 / 電子顕微鏡 / 高圧凍結技法 / 液胞 / タバコ / シロイヌナズナ / H+-ピロホスファターゼ |
Research Abstract |
本年度は、V-PPaseが局在する新奇構造体の超微細構造を立体的に把握するため、タバコの根端組織について漣続切片法による立体構築を試みた。タバコ芽生えの根端、約1mmを高圧凍結固定した後、四酸化オスミウム/アセトン溶液による凍結置換法で電子顕微鏡試料を調整した。根端組織の異なる細胞層ごとに連続切片を作製し、透過電顕観察を行った。その結果、単一切片ではリング状に見えていた新奇構造体は、三次元的には、数100μmにわたって連続するシート状の膜構造体であること、シート状膜構造が2~3枚重なっている部分があることが分かった。この構造体の膜の由来を明らかにするため、電顕切片において、細胞質膜を特異的に染色するリンタングステン酸染色法を行った。さらに、新奇構造体の形態的特徴がオートファゴソームに類似することから、オートファジー関連タンパク質に対する抗シロイヌナズナ抗体を用いて、免疫電顕を行った。また、環境ストレス下に置かれた野生型植物個体では、V-PPaseが活発に機能している可能性があることから、塩ストレス処理(150mM NaCl、24時間)を行ったシロイヌナズナ根端について、高圧凍結/凍結置換法により、電顕試料を作製した。今後はオートファジー関連タンパク質に対する抗体と抗V-PPase抗体との、免疫二重染色を試みる。また塩ストレス処理下での野生型植物、およびシロイヌナズナV-PPase強発現体、突然変異体について、液胞の形態観察を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料作製に用いている装置(高圧凍結装置)に昨年度末から不調があり、その修理と条件検討に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題においては、観察対象となる電子顕微鏡試料の調整の可否が重要である。平成23年度中にその条件検討を改めて行ったことから、今後は網羅的な解析が進むと期待される。申請者は、本研究とは別の職務も行っているが、次年度には本研究課題に対するエフォートを上げて取り組む予定である。
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