2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770069
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70347483)
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Keywords | 光周性 / 光受容 / 休眠 / 昆虫 / 脳 |
Research Abstract |
(1)ハエ目昆虫の幼虫の光受容器としては脳とBolwig's organ (BO)が考えられる.本年は脳による光受容の可能性を検討するために,脳移植を行った.長日条件を経験した個体(非休眠運命)から脳を取り出し,短日条件で発育した個体(休眠運命)に移植したところ,成功率はいまだに低いものの,脳の移植にともなって非休眠運命も移植されることが明らかになった.これは非休眠を誘導する情報が脳に存在していることを示している.今後は移植の成功率を上げる工夫をするとともに,培養条件下で取り出した脳に光周期情報を与え,その脳を移植することで移植された個体の休眠・非休眠の運命が切り替わるかを調べる.これにより脳が光受容器として働くかが明らかになる. (2)これまでの研究により,ナミニクバエは幅広い波長の光を感受して光周性を示すことが知られている.このことから,光周性の光受容にはオプシン類とクリプトクロム(cry-d)の両方がかかわっていると考えられる.そこでこれらの遺伝子のクローニングを行った。現在,cry-d,オプシン1(Rh1),オプシン2(Rh2)がクローニングされている。今後さらに新たなオプシン遺伝子のクローニングを行う. (3)脳とBOでcry-d,Rh1 mRNAの発現を調べたところ,両遺伝子とも脳で強い発現が見られた.これは脳が光受容分子として十分働きうることを示している.今後(1)の結果と合わせて,脳が光受容器なのかどのような光受容分子を用いているのか,について検討していく.
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Research Products
(2 results)