2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動と産卵行動のスイッチに関わる中枢神経回路の機能解析
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22770070
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
成末 憲治 東邦大学, 薬学部, 講師 (30432850)
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Keywords | アメフラシ / 軟体動物 / 摂食行動 / 産卵ホルモン / 神経回路 / 可塑性 / 生理学 / 神経生物 |
Research Abstract |
本研究は、摂食行動と産卵行動のスイッチに関わる中枢神経回路の機能解析を主な目的とした。軟体動物アメフラシの産卵期における摂食行動抑制の理由を解明するため産卵ホルモンであるELH (Egg-1aying hormone)の影響を行動学的に解析した。まず動物の1時間当たりの海藻摂食董を測定して、3日間の平均値をコントロールとした。次にELHを腹腔内投与したときの摂食量減少を測定した。ELHは体内濃度が10nMと80nMになるように調整した。ELHを投与したときの3日間の摂食量はコントロール100%に比べて、10nMでは67.9±15.0%、80nMでは39.7±8.9%となり、濃度依存的に減少した。なお、体液に近い人工海水を腹腔内投与したときは有意な変化が起こらなかった。続いて、アメフラシの口球神経節に存在する介在ニューロ(MA, multi-action)と閉口運動ニューロン(JC, jaw-closing)にガラス微小電極を刺入してELHの効果を検討した。自発応答時、MAの発火頻度と発火期間はELH添加による変化は見られなかった。一方、JCの発火頻度はELH添加後に13.4±4.6spikes/sから29.3±4.7spikes/sへ有意に増加することが明らかになった。これらのことからELHが産卵期における動物の摂食量減少に関与していること、またELHの作用により閉口運動ニューロンの活動が増加して閉口頻度の増大が引き起こされ摂食量減少に影響を与えていることが示唆された。
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