2011 Fiscal Year Annual Research Report
食性に関わる遺伝子群の探索と分子進化:キノコ食ショウジョウバエを中心に
Project/Area Number |
22770072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 徹 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (80374198)
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Keywords | 分子系統 / 分子進化 / ショウジョウバエ / 食性 |
Research Abstract |
昆虫の多様性が非常に高い理由の一つとして、彼らの食性が著しく多様化したことが挙げられる。本研究課題は、キノコ食という特殊な食性を持つショウジョウバエに注目し、キノコ食のショウジョウバエ系統で特異的に認められた遺伝的変異に対し、自然選択がどのように作用したかを検証することを目的とする。本年度は、食性関連因子の分子進化学的解析の基盤となる系統学的情報のさらなる収集を目的に、Drosophila属のqinaria種群、Hirtodrosophila属、およびそれらに近縁とされるショウジョウバエ種から新たに得られた配列情報を加えて分子系統樹を構築し、キノコ食およびその他のショウジョウバエ間の系統関係を推定した。その結果、得られた分子系統樹において、キノコ食のショウジョウバエは単系統的にまとまらず、キノコ食形質が複数回独立して生じた可能性が示唆された。また、Drosophila属のquinaria種群、あるいはtestacea種群に属するキノコ食のショウジョウバエ系統は、キノコ食でないいくつかの系統とともに、ある特定の時期に急速に分化した可能性が示唆された。次に、キノコ食ショウジョウバエに特異的な遺伝的変異を検出することを目的に、ショウジョウバエ12ゲノムのデータベースから、食性に関わると予想される遺伝子を検索し、得られた配列をもとにPCRプライマーをそれぞれ設計した。そして、キノコ食ショウジョウバエ数種のDNAを鋳型にPCRを行なったところ、AmyおよびOr83b遺伝子においてDNA増幅が確認された。そこで、これらの遺伝子について塩基配列を決定し、キノコ食とそうでないものとの間で比較を行なったが、キノコ食ショウジョウバエで特異的に認められるような遺伝的変異は検出されなかった。従って、この問題については今後もさらなる遺伝子の探索が必要である。
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Research Products
(4 results)