2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本産イモリ属の多様性評価と個体群分類のための分子遺伝学的研究
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22770087
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
富永 篤 琉球大学, 教育学部, 講師 (60452968)
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Keywords | イモリ属 / 日本 / 遺伝的分化 / 種分化 / マイクロサテライト / ミトコンドリアDNA / 分子系統地理 / 集団遺伝解析 |
Research Abstract |
本年度は、(1)遺伝解析のためのサンプリング、(2)核遺伝子領域の塩基配列解読、(3)マイクロサテライトマーカーの開発の3つを主におこなった。まず、(1)であるが中部-北陸-近畿-中国地方東部などに分布する中部日本群と、中国地方西部-四国-九州北中部などに分布する西日本群の境界領域でサンプル収集をおこなった。また西日本群と西九州-南九州に分布する西南九州群の境界領域でもサンプル収集をおこなった。東北-関東の東日本群と中部日本群の境界領域でのサンプル収集は調査予定の直前に起きた震災の影響で断念した。次に(2)の核遺伝子座の解読については、現在、rag1領域の解読を進めている。単一の領域では変異が少ないので、さらに有用な領域を探し、解読を進める予定である。また(3)のマイクロサテライトマーカーの開発にも着手した。まず、マグネティックビーズを用いたマイクロサテライト領域を含むDNA断片の濃縮をおこない、それらのDNA断片の塩基配列を解読してマイクロサテライト領域を含むか否か確認した。その結果、1回目の濃縮では、濃縮が十分でなくマイクロサテライトを含むDNA断片は1割以下で、十分な数の配列が得られなかった。他の多くの分類群ではそのようなう結果にはならないことから、これはイモリなどに特有の問題と考えられる。そこでビーズによる濃縮を2度繰り返し行い、マイクロサテライトを含むDNA断片の割合をさらに高めることを試みた。その結果、マイクロサテライトを含むDNA断片の割合は3-4割程度まで向上した。2度の濃縮により、効率的にマイクロサテライトを含むDNA領域の配列を得ることができるようになり、現在合計約25の候補となる配列が得られている。今後も候補となるDNA断片の塩基配列解読を進めてマイクロサテライトマーカーの開発をおこなう予定である。
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