2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770088
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 望 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 支援研究員 (40456611)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 動物 / 遺伝子 / 性判定 / 博物館 |
Research Abstract |
本研究の目的は,分子生物学的手法を用いて,性別の不明な哺乳類標本の性判定を行う技術を確立することにある.本研究ではまず,効率のよい優れたプライマーを設計することが必要である.そこで,プライマー設計に必要な情報を得るため,哺乳綱全29目中13目33種のSRY遺伝子(Y染色体上に存在)と12目52種のZF遺伝子(X染色体とY染色体の両者に存在)の塩基配列を決定した. 次に,本剥製と仮剥製の毛および標本として処理された骨に残存するDNAの状態を調べた.これらの標本は微量のDNAを含むが,DNAの断片化が進んでいたり,PCR阻害物質が混入していたりすることが報告されている.しかしながら,仮剥製の毛に含まれるDNAは,断片長280 ~ 880 bp, 1000 ~ 7500 ng / 100本とDNA解析に充分な状態にあることが分かった.また,哺乳類の毛からDNAを抽出すると,PCRを阻害する水溶性メラニンが同時に抽出されるが,仮剥製の製作に用いるミョウバンが元来毛に含まれる不溶性メラニンの水溶性メラニンへの変化を抑え,PCRの成功率を上げることが示唆された.さらに,仮剥製のDNAは,標本処理後の経過時間に伴い指数関数的に減少するが,25年以上経過すると, DNA量は約1000 ng / 100本で一定になることが分かった.実際に,25年前の仮剥製からDNA解析を行ったのと同じ方法で,90年前の仮剥製のDNA解析に成功した. 以上を踏まえ,仮剥製に焦点を絞り,性判定法の確立を試みた.その結果,哺乳綱の複数の目に対応できるユニバーサル・プライマーを設計することはできなかったが,目ごとのプライマー設計を試みたところ,食肉目動物に対応するプライマーの設計に成功した.実際に,現在までにタヌキ,ハクビシン,テン,アナグマの性判定に成功しており,現在,ここまでの成果を発表準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)