2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子結晶構造解析で見るフェレドキシン依存性ビリン還元酵素のプロトン化機構
Project/Area Number |
22770096
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
海野 昌喜 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10359549)
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Keywords | 中性子結晶構造解析 / 水素原子 / ビリン還元酵素 / シアノバクテリア / 反応機構 / 大型結晶 / 結晶成長 |
Research Abstract |
生物は光をエネルギー源や環境情報として利用している。これらを担う光受容タンパク質に用いられている色素群phytobilinは、ヘム分解によって生じたビリベルジン(BV)がフェレドキシン依存性ビリン還元酵素(FDBR)に還元されて合成される。シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC 6803由来の酵素PcyAは、BVの二か所に部位特異的に、しかも一定の順序で2電子供与・2水素添加し、phytobilinの一つフィコシアノビリンを合成する。この特殊な還元反応の機構を「水素原子レベル」で解明するため、基質であるBVおよび反応中間体である18^1,18^2-dihydrobiliverdin(DHBV)を結合したそれぞれのPcyAの中性子結晶構造解析を行うことがこの研究の目的である。 本年度は、中性子結晶構造解析に供すべき、PcyAの大型結晶作製条件の確立を目指した。X線結晶構造解析で用いられた結晶化条件と類似の条件で、比較的再現性良く、大きな結晶が得られる条件を探索し、その条件でのスケールアップによる結晶の大型化(1mm3程度)に成功した。 本年度は、原子炉JRR-3のBIX-3,BIX-4の二つのビームポートにいおいて中性子回折実験を計算回行った。中性子回折実験では、蛋白質中の水素原子はバックグランドレベルを上げてしまうので、重水で作成した溶液に結晶を浸漬する"ソーキング"法を行った。重水素化した大型結晶は、乾燥を避けるため、重水で作成したリザーバー溶液と共に石英のキャピラリーの中に封入した。 結果、2.6Å分解能程度の回折像を得るにとどまり、フルデータセット収集には未だ至っていない。つくばのPhoton Factoryでの実験では、1.2Å分解能程度のX線回折強度データ収集に成功している。
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Research Products
(23 results)