2011 Fiscal Year Annual Research Report
TrabidによるLys63結合型ポリユビキチン鎖の選択的切断の構造的基盤
Project/Area Number |
22770099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 裕介 東京大学, 放射性光連携研究機構, 助教 (50568061)
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Keywords | X線結晶構造解析 / ユビキチン |
Research Abstract |
TRABIDはK63結合型ポリユビキチン鎖を切断することでWntシグナル経路においてβカテニンと転写因子の相互作用を促進すると考えられているが、その選択的切断機構は明らかになっていない。本研究ではTRABIDによるK63結合型ポリUb鎖の認識および切断活性の機構を明らかにするため、TRABIDのOTUドメインの結晶構造解析を試みた。マウス、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエのTRABIDについてK63結合型ユビキチン鎖との複合体の結晶化を行ったが結晶は得られなかった。 一方、TRABID以外にも特定のポリUb鎖を特異的に認識するタンパク質は存在するため、それらについても平行して研究を行い、その結果としてHOIL-1LのNZFと直鎖状Ub2量体の複合体の結晶構造解析に成功した。HOIL-1LはHOIPとともに直鎖状Ub鎖形成複合体(LUBAC)とよばれるユビキチンリガーゼ複合体を構成する。LUBACは直鎖状Ub鎖の形成を促進することでNF-κBシグナル伝達を活性化する。これまでHOIL-1LのNZFドメインはUb鎖の選択的認識は行わないと考えられていた。しかし今回の研究からHOIL-1LのNZFドメインは直鎖状Ub鎖と特異的に結合する事を明らかとし、さらに結晶構造からそのメカニズムも解明した。また、結晶構造情報をもとにした変異体解析の結果から、HOIL-1Lによる直鎖状ユビキチン鎖の認識がNF-κBシグナル伝達経路において重要な役割を果たすことが明らかとなった。この成果は「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載された。
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Research Products
(3 results)