2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 敦史 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (20463903)
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Keywords | タンパク質 / 構造生物学 |
Research Abstract |
本年度は、ヒトでの尿素トランスポーター(UT)による尿素運搬のメカニズムを解明するために、同じほ乳類であるマウス由来の尿素トランスポーター(mUT-B)の発現系の構築を行った。膜タンパク質の構造解析には何よりも性質の良いサンプルを得ることが重要である。近年、蛍光タンパク質GFPとの融合体として目的タンパク質を発現させ、蛍光検出を用いたゲルろ過クロマトグラフィーを行うことにより、迅速な性状解析を可能にするFSECと呼ばれる手法が良く用いられている。また、高等真核生物の膜タンパク質は、従来の大腸菌を用いての発現系では発現が困難で、酵母や昆虫細胞といった真核生物の発現系を用いなければならない。本研究では昆虫細胞発現系によるmUTの発現と、FSECによる迅速な性状解析を行うために、新たにベクター開発から行った。Invitrogen社製のBac-to-BacシステムのpFastBacベクターを基に、HRV3Cプロテアーゼ認識サイトとヒスチジンタグ付きGFP遺伝子を含むベクターを作製した。cDNAライブラリからmUT-B遺伝子をPCRによって増幅させ、作製したベクターにクローニングし、C末GFP融合体として発現させるコンストラクトを作製した。次に作製したコンストラクトからBac-to-Bacシステムを利用してBacmidを調整し、これをSf9昆虫細胞に感染させてタンパク質発現を行った。mUTB-GFPを発現した昆虫細胞を界面活性剤ドデシルマルトシドを用いて可溶化し、島津社製の蛍光検出器付き液体クロマトグラフィーシステムを用いて性状解析を行ったところ、全長mUT-Bは単分散の挙動を示す良好なサンプルであることが分かった。さらに、GFPに付加したヒスチジンタグを用いて精製を行ったところ、CBB染色によるSDS-PAGEにおいて単一バンドとして現れることから、純度・量ともに構造解析に十分なサンプルであることが分かった。
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Research Products
(4 results)