2011 Fiscal Year Annual Research Report
オロチジン一リン酸脱炭酸酵素の基質の歪みを利用した反応触媒機構の解析
Project/Area Number |
22770102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤橋 雅宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10397581)
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Keywords | ODCase / 反応中間体構造 / 基質構造の歪み / 酵素反応機構 / 蛋白質X線結晶構造解析 / 酵素基質複合体 |
Research Abstract |
オロチジンーリン酸脱炭酸酵素(ODCas)は、基質中の炭素結合を歪ませることが知られている。この「歪み」が、「なぜ生じるのか」「触媒活性にどのように利用されるのか」の分析を通して、この酵素の10の17乗倍にも及ぶ反応触媒機構に関する知見を得ることを目指した研究を行った。 実際の研究にはMethanothemobacter thermoautotrophicus由来ODCaseを用いた。基質のピリミジン環を上下から挟みこむことで、基質構造の歪みに貢献していると考えられたPro180やI1e76の変異体について、X線回折データの精密化を行った。これらの変異体に結合した基質アナログは、野生型のものと比べてわずかに移動しており、Pto180やI1e76と基質の接触が、反応の触媒に一定の貢献をしていることを示唆している。これは、野生型と比べてこれら変異体のkcatは低く、KMは高くなる傾向と矛盾しない。 また、これまでに公表されているODCaseと基質アナログ複合体の座標データと比べて、更に高分解能のX線回折データについて精密化を進めた。これにより、反応に直接関わると考えられているLys72が、ダブルコンフォメーションをとっていることが示された。このLys72は、ODCaseの基質で歪みが知られている炭素結合の直近に位置する。現在、別の基質アナログとODCase複合体の高分解能での構造精密化を進めることで、Lys72の役割に関する新たな知見を得ようとしている。 更に、産業技術総合研究所の石田豊和研究員と協力して、反応途中の酵素基質複合体構造の計算機シミュレーションを行い、基質構造の歪みの反応への関わりを分析した。
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Research Products
(1 results)