2010 Fiscal Year Annual Research Report
動的なオリゴマー形成因子による新規シグナル伝達制御の構造基盤
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22770112
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
寺脇 慎一 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (10452533)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 構造生物学 / Wntシグナル伝達 / DIXドメイン / タンパク質複合体 / オリゴマー化 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達は、受容体Frizzledの細胞質側にAxin、Coiled-Coil DIX1(CCD1)、Dvlの動的なオリゴマーを形成して機能する足場タンパク質を配置して、細胞内シグナル経路を統合・分岐する特徴的な制御システムを有する。これらの足場タンパク質は、共通に保存されたDIXドメインを介して、細胞内における自身の局所的な濃度依存的に解離・会合する動的なオリゴマーを形成し、また、直接の相互作用によって、シグナル伝達を制御する。これまでに、Axin DIXドメインのX線結晶構造解析がおこなわれており、DIXドメインは、(1)ユビキチン様の折りたたみ構造を持つこと、(2)らせん状に連なったオリゴマー構造をとることが明らかにされている(Nat.Struc.Mol.Biol.,2007,14,484-492)。しかしながら、CCD1とAxinの間の相互作用がどのように両分子のオリゴマー状態を変化させ、シグナル伝達を制御しているのかはわかっていない。本研究では、CCD1とAxinの間で作られるタンパク質複合体のX線結晶構造解析をおこない、その相互作用とシグナル伝達制御の仕組みを原子レベルで解明することを目的とする。本年度は、CCD1とAxinの大腸菌を利用した組換えタンパク質大量発現系を構築し、精製方法の確立をおこなった。現在までに、CCD1 DIXドメイン単独の構造を多波長異常分散法により決定し、Axinとは異なるオリゴマー構造を持つことを明らかにした。また、複合体形成に必要な領域を精製タンパク質を利用したプルダウンアッセイによって決定した。さらに、動的光散乱測定と超遠心分析から、結晶化に適したCCD1:Axinの混合比の検討を進めつつ、CCD1-Axin複合体の結晶化条件の探索をおこなっている。
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