2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライトを結晶化基板材料として用いた汎用的タンパク質結晶化方法の確立
Project/Area Number |
22770116
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菅原 道泰 独立行政法人理化学研究所, タンパク質結晶構造解析研究グループ, 研究員 (00415192)
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Keywords | X線結晶構造解析 / タンパク質結晶化 / ゼオライト |
Research Abstract |
合成ゼオライトのモレキュラーシーブを結晶化基板材料として用いた汎用的タンパク質結晶化方法の確立に向けて、以下の3研究を行った。1、モレキュラーシーブを用いたタンパク質結晶化機構の解明。平成23年度では、回折実験に適した良質単結晶を得るのが困難なタンパク質として、膜タンパク質、70sリボソームを含む様々な生物種由来タンパク質を10種類準備した。現在、モレキュラーシーブを用いてそれらタンパク質結晶化実験を進めており、本手法の実用性評価を行っている。2、モレキュラーシーブを用いた効率的タンパク質結晶化技術の開発では、本手法に適した結晶化試薬の調査を行った。本手法により行った40種類のタンパク質の結晶化スクリーニングから得られたデータをもとに、結晶化成功率の高い試薬を調製し、初期スクリーニング用結晶化試薬キットを作製した。今後、本試薬キットを用いることで、効率の良いタンパク質結晶化実験を進める。加えて、本手法に最適な結晶化方法を調査するために、オイルマイクロバッチ法、およびハンギング・シッティングドロップ蒸気拡散法との比較を行った。結果として、最も多く良質単結晶を析出したのはオイルマイクロバッチ法であった。3、新規タンパク質結晶化基板材料の開発においては、新たにタンパク質結晶化を促進する物質を見出した。その材料の特徴として、モレキュラーシーブと同様に、金属、および細孔を有しており、それらはタンパク質の結晶化を促進する材料の重要な要素と思われる。現在、平成22年度に見出した2種類の結晶化促進物質を含む各材料を用いて、様々なタンパク質との結晶化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究計画にしたがって、おおむね順調に進展している。加えて平成23年度では、本手法により得られるタンパク質結晶の回折実験のための結晶マウント法に関する論文が受理された。また、合成ゼオライトを用いたタンパク質結晶化方法を含む特許を出願した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度では、タンパク質結晶化を促進する材料を新たに見出した。今後、モレキュラーシーブでは結晶化が困難なタンパク質に対して、新規結晶化促進材料による結晶化を試みる。それら異なる材料を用いたタンパク質の結晶化、およびその回折実験データを活用して本結晶化方法を改良し、汎用的タンパク質結晶化方法を確立したい。
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