2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンによるミスフォールディングタンパク質の凝集ダイナミクス
Project/Area Number |
22770117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
座古 保 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (50399440)
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Keywords | 分子シャペロンタンパク質 / プレフォルディン / タンパク質ミスフォールディング病 / アルツハイマー病 / アミロイドβ / 可溶性オリゴマー / タンパク質凝集 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
近年、天然構造が壊れ、間違ったフォールディング(ミスフォールディング)をしたタンパク質が凝集することが原因で引き起こされるタンパク質ミスフォールディング病が社会的問題となっている.代表的な疾病であるアルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質(Aβ)などの凝集体が主な病因と考えられている.本研究では生体内でタンパク質凝集を抑制する働きをしている分子シャペロンタンパク質の1つであるプレフォルディンがミスフォールディング病の原因とされているタンパク質凝集にどのような働きをしているかを明らかにすることを目的としている. 前年度において、ヒト由来配列を持つプレフォルディンとAβをインキュベートすると、Aβの凝集が抑制され、可溶性のオリゴマー構造が生成すること、このオリゴマーの細胞毒性は非常に低いことを見出した.本年度は、このオリゴマーがプレフォルディンとAβの複合体であることを免疫沈降法などによって示し、オリゴマーの細胞毒性がマウスの神経細胞においても低いことを明らかにした.一方、これまでに我々は古細菌のプレフォルディンを用いた場合は逆に毒性の高いオリゴマーができることを見出している.今回我々はこれら二つの毒性の異なるオリゴマーがAβ抗体への反応性が異なることを見出した.近年アルツハイマー病では毒性の高い可溶性オリゴマーが主病因の1つと考えられているが、サイズや構造が異なる様々な可溶性オリゴマーが報告されており、未だに病因オリゴマーの特定には至っていない.今回の結果はオリゴマー毒性が表面構造に依存していることを示唆している.さらに本年度は、プレフォルディンが他の疾病タンパク質であるポリグルタミンタンパク質についても可溶性オリゴマー形成を誘導することを見出した.これらの結果は、プレフォルディンが様々なタンパク質の可溶性オリゴマー形成に関与していることを示唆している.
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Research Products
(8 results)