2010 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質と小胞体膜蛋白質の協調による巨大分子分泌機構の解明
Project/Area Number |
22770120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 康太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60549632)
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Keywords | 分泌 / コラーゲン / 小胞体 / COPII / 癌 |
Research Abstract |
小胞体で合成された蛋白質は輸送小胞に積み込まれ、目的の小器官に運ばれる。コラーゲン分子は巨大であるために、その分泌には特殊な輸送機構が存在すると考えられるが、実体は明らかとなっていない。代表者は、小胞体においてVII型コラーゲンの分泌に介在する特異的因子として先にTANGO1を同定しており、本若手研究(B)による機能解析により以下の知見を得た。1.小胞体からの小胞出芽領域であるER exit siteに特異的に局在する因子として新たにcTAGE5を見出した。2.cTAGE5はTANGO1のC末端側に相同なドメイン構造を有することを確認した。3.TANGO1とcTAGE5はそのcoiled-coil領域を介し、特異的に相互作用することを明らかにした。4.cTAGE5がTANGO1と同様に、C末端のプロリンリッチ領域を介し、COPII被覆複合体の構成因子であるSec23/24と相互作用することを明らかにした。5.cTAGE5は、TANGO1と同様にVII型コラーゲンの分泌に必要であることを培養細胞による遺伝子ノックダウンにより明らかにした。以上の知見より、TANGO1によって担われていると考えられたVII型コラーゲンの小胞体からの分泌がcTAGE5/TANGO1複合体によって制御されるという新たな可能性が提示された。cTAGE5は種々の癌において発現が上昇することが示されており、今後、細胞内コラーゲン輸送制御と癌との関係を明らかにしていく予定である。
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