2011 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体出口部位ERESにおけるCOPII小胞形成機構の解析
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22770121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依光 朋宏 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (00534364)
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Keywords | 小胞体 / 小胞輸送 / COPII小胞 / ERES |
Research Abstract |
真核細胞における小胞体からゴルジ体への輸送を担うCOPII小胞は小胞体上のERESと呼ばれる特定の領域で形成される。本研究課題ではCOPII小胞形成必須因子であるSec16によるERESの形成および、そのERESにおけるCOPII小胞形成制御機構の解明を目的としている。まず平成22年度までにSec16がそのC末端領域を介して、COPIIコート因子によるSarl GTPase活性化能を抑制していること明らかにした。平成23年度は昨年度に引き続き精製Sec16を用いたin vitro完全再構成実験系ならびに人口脂質平面膜系を用いた解析を行った。まずin vitro実験系によりSec16のC末端領域がCOPIIコート因子複合体のSec23/Sar1複合体に相互作用することがわかった。そしてこのC末端領域による相互作用はCOPIIコート因子のSec31サブユニットがSec23に結合することを阻害することを明らかにした。これらの結果より、Sec16はその分子上の別々のドメインによりCOPIIコート複合体の各サブユニット間の相互作用を調整し、COPIIコートによるSar1の活性化を制御していることが示唆された。そしてCOPII小胞形成反応におけるSec16の役割を詳細な分子メカニズムモデルとして初めて提唱することができた。次にSec16の人口脂質平面膜系での再構成を試みた。蛍光タンパク質mOrangeを融合したSec16(Sec16-mOrange)の精製を行い高純度の精製産物の獲得に成功した。精製Sec16-mOrangeを人口脂質平面膜系に加えエバネッセント光による蛍光顕微鏡観察を行うと融合mOrange由来の輝点が観察された。このことより、Sec16の平面膜上への再構成ならびに一分子レベルでの観察の成功を示す初めての結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではCOPII小胞形成時におけるSec16の機能解析を目的としている。平成23年度までにin vitro完全再構成実験系を用いた解析によりSec16のCOPIIコート因子に対する機能的役割を調べ、その制御メカニズムを明らかにした。そしてSec16の分子メカニズムに関する詳細なモデルを示唆することに成功している。さらに人口脂質平面膜実験系によるSec16の再構成およびその一分子観察が成功している。また平成23年度には日本生化学会、遺伝研研究会(招待講演)で研究成果として発表を行うことができた。以上のことより、交付申請書に記載した「研究の目的」はほぼ達成されており、本研究課題はおおむね順調にしていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに確立した人口脂質平面膜実験系を主に用い、平成24年度も引き続きSec16の機能解析を行っていく。特に平面膜上で観察されたSec16の輝点の形成メカニズムならびに、その輝点のERES形成に対する機能的意義を調べる。またこれらのin vitroでの実験結果をin vivoでの実験結果との比較、検証を行う。以上の研究方針により詳細なCOPII小胞の形成機構の解明を試みる。
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