2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770140
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鴫 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 研究員 (20392623)
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Keywords | 核酸 / 蛋白質 / 酵素 / 微生物 |
Research Abstract |
RNAは転写後にスプライシングやRNA修飾などを経て成熟し、その本来の機能を発揮する。転移RNA(tRNA)はコドンとアミノ酸を対応させる機能をになうタンパク質合成系における中心的な分子であるが、このtRNAが機能するのに必要な硫黄化修飾がどう生合成されているかは未解明である。試験管内での再構成系により生合成のメカニズムを詳細に解析し、また細胞での解析から転写後修飾の機能を明らかにすることを目的とし研究を進めた。 本年度は高度好熱菌(Thermus thermophilus)内で硫黄化修飾塩基の生合成効率を鋭敏に検出できる系を構築することに成功した。この系を用いて修飾酵素TtuAの種間で保存されたアミノ酸残基(10か所程度)の生合成反応における重要性について検討した。その結果、反応に重要なアミノ酸残基を特定し反応機構を推定することができた。 また好熱菌の細胞内で、生合成因子同士が共有結合することを前年度までに見出していた。これは真正細菌では初めての発見である。生合成タンパク質の1つTtuBは真核生物翻訳後修飾タンパク質ユビキチンに類似しており、実際に好熱菌内でTtuBは多数のタンパク質を修飾していた。硫黄修飾塩基の生合成タンパク質群もTtuB修飾されていた。脱TtuB化酵素を同定し、人為的に生合成タンパク質群のTtuB修飾状態を変化させると、硫黄修飾塩基の量も変動した。つまりTtuB修飾が生合成反応を制御していることが示唆された。これは原核生物における新規なタンパク質機能制御機構であるとともに真核生物ユビキチン系の祖先系であると考えられ興味深い。 本研究の成果は学会等で発表し、Journal of Biological Chemistry紙に発表した。
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