2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770142
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
牧野 正知 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 協力研究員 (30529582)
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Keywords | 蛋白質 / シグナル伝達 / 微生物 / X線 / 構造生物 |
Research Abstract |
本年度はマンガンイオン要求性PPMホスファターゼRsbPに焦点を当て研究を進めた。RsbPはホスファターゼドメイン(PPMドメイン)のN末端側に、PASドメインとcoiled-coilドメイン(CCドメイン)を有するマルチドメイン蛋白質である。各ドメインの機能や分子内情報伝達の仕組みに迫るため、PASドメインを欠損させたコンストラクト、PPMドメインのみのコンストラクトを新たに調製した。PPMドメインについては大量発現系を構築し、精製方法・溶液条件・結晶化条件を検討した。その結果、塩を沈殿剤とする条件で結晶が得られた。大型放射光施設SPring-8にて回折データ収集を行ったところ、分解能は2.2A、空間群はP42_12、格子定数はa=b=104.0A,c=51.3Aで非対称単位中に1分子含まれていることが分かった。現在、分子置換法による構造決定を試みている。一方、RsbP全長蛋白質については、予備的な実験から容易に凝集を起こすことが分かっていたため、動的光散乱測定による溶液条件の改善を試みた。その結果、緩衝液に含まれる塩濃度を下げることで凝集を避けられることが分かった。それを踏まえ結晶化を行ったところ、3×3×30μm程度の針状結晶が得られた。このような微小な結晶から回折像を効果的に収集するためには、結晶以外の散乱体からのバックグラウンドノイズを可能な限り低減させる必要がある。そこで新たに微小結晶をマウントするための器具の開発も行った。また結晶構造解析によるアプローチに加え、本年度はX線小角散乱測定を実施した。予備的な実験結果から、溶液状態ではダイマーを形成していることが推測された。
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