2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 緑 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (20324387)
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Keywords | 光生物 / ロドプシン |
Research Abstract |
ロドプシンが担う光情報変換過程は、ロドプシン分子内に含まれる発色団レチナールが光を吸収し11-cis型から全トランス型へと異性化することで開始される。我々は、イカロドプシンの結晶を用いて、光反応初期中間体の構造解析を試みている。反応中間体は結晶中での形成率が必ずしも大きくないこともあり、形成率を正しく見積もらないと間違ったモデルを導く可能性が大きくなる。本課題では、様々な視点から形成率を正しく見積もることを試みた。イカロドプシン結晶に対し液体窒素温度下でさまざまな波長の光を照射すると、11-cis型基底状態、9-シス型イソロドプシン、全トランス型バソ中間体の3状態間で平衡状態を形成した。様々な波長を当て、結晶中での各光異性体の形成率を正確に見積もった。バソ中間体が多く蓄積される青色光、基底状態が多い赤色光を交互に照射し収集したX線回折データから、X線照射量が少ない場合のみ活性部位近傍の電子密度に有意な差が観察された。この差マップもX線量が増えるに従って差が減少したため、X線照射によってタンパク質が壊れ正常な光化学反応が生じないX線産物に不可逆に変化したと判断した。オンライン顕微分光測定を行い、この不可逆な変化を定量的に解析し、X線照射した結晶中でのバソ中間体の形成率を正確に見積もった。さらに、あらゆる波長領域でイソドプシンの形成率が大きいことが分かったので、イソロドプシンの構造解析も行い、バソ中間体の正しいモデルを構築することができた。
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Research Products
(8 results)