2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 緑 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (20324387)
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Keywords | 光生物 / ロドプシン |
Research Abstract |
視物質ロドプシンは網膜視細胞に存在する光受容膜蛋白質で、7本膜貫通ヘリックス構造をもつG蛋白共役型受容体(GPCR)のモデル蛋白質である。無脊椎動物スルメイカのロドプシンの構造と、脊椎動物ウシのロドプシンの構造を比較すると、ウシロドプシンの構造が光受容に高度に特化しているのとは対照的に、イカロドプシンでは他の一般のGPCRと共通した構造を持つと考えられる。本研究課題では光反応サイクル最初の中間体バソ中間体とその光異性体イソロドプシンの構造を求め構造比較を行い、シグナリングに必要な構造を明らかにすることを目標とした。イカロドプシン結晶に対し、低温下で青色光照射後緑色光を照射するとほぼ100%イソロドプシンが生成された。少量のX線照射により回折データを収集し、イソロドプシンの構造モデルを2.7Aで決定した。このデータからは基底状態と有意な差電子密度マップが得られ、この差マップを基に再度バソ中間体のモデルを改めて解析し、2.8A分解能でバソ中間体の構造を決定した。基底状態とイソロドプシンでは、レチナールは膜面に平行にポリエン鎖平面を向けており、レチナールと膜貫通ヘリックス3との立体障害がイソロドプシンを安定に保持することが明らかとなった。一方、バソ中間体形成によってポリエン鎖平面は膜の法線方向へと回転した。この時、レチナールは大きく捻じれ、近傍残基の側鎖に相補的な動きが惹起された。吸収した光エネルギーはレチナールおよび近傍残基の歪みとして蓄えらえることが明らかとなった。
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Research Products
(12 results)