2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン濃度勾配維持に関連する膜タンパク質の電子線結晶学を用いた構造機能解析
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22770147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷 一寿 京都大学, 大学院・理学研究科, 特定助教(産官学連携) (20541204)
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Keywords | 電子線結晶学 / 膜タンパク質 / 二次元結晶 / 水チャネル / アクアポリン-4 / H+K+-ATPase / 電子顕微鏡 / 三次元構造 |
Research Abstract |
水チャネルと胃プロトンポンプ(H+,K+-ATPase)を中心に電子線結晶解析を用いて構造を決定し、膜タンパク質におけるプロトン濃度勾配維持機構の解明を目的としている。本解析手法は、膜タンパク質の立体構造を生体内に近い脂質二重膜内に存在する状態で観察することを実現できるため、生理的な条件下での分子レベルでの理解に貢献できる。具体的には、1)プロトンの移動を伴わない水チャネルの高い水の選択性と速い水透過性機構、2)H+, K+-ATPaseのプロトン逆流を防ぐラチェット機構を、極低温電子顕微鏡から得られたデータを用いて立体構造を決定し、分子レベルから理解することを目指す。本年度の成果に関しては、水チャネルアクアポリン-4(AQP4)変異体の二次元結晶を用いた構造解析や水透過アッセイの実験結果から、細胞内側で起こる水透過調節や膜上における格子状アレイ形成に関する知見を得ることができた。H+,K+-ATPaseに関しては、リン酸化アナログの1つであるBeFxと胃酸抑制剤の1つであるSCH28080との共結晶による構造から、薬剤結合位置に相当する部分のデンシティを区別化することに成功した。また、良質な二次元結晶(10~6AÅ分解能程度)が再現よく得られる状態になれば、現在改良中の電子線結晶解析ソフトウェアを用いることで、データ収集も含めて3ヶ月以内に立体構造を得られることが可能になった。この分解であれば、マップ中のタンパク質二次構造を区別することができ、ホモロジーモデリングと組み合わせることで、アミノ酸残基レベルでの議論が可能であることも示せた。
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Research Products
(5 results)