2011 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中におけるチトクロムc酸化酵素の時間分解赤外分光法
Project/Area Number |
22770154
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山口 悟 岡山理科大学, 理学部, 講師 (20347529)
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Keywords | 赤外分光法 / マイクロチップ / プロトンポンプ / 生体エネルギー変換 / 構造生物学 |
Research Abstract |
昨年度は回転セルをもちいて一酸化炭素結合型チトクロム酸化酵素(CcO)の光乖離によるチトクロムc酸化酵素の高次構造変化を時間軸にそって追跡する事に成功した。この結果は巨大な水の信号にマスクされているアミド領域において、わずかな信号強度変化を検出出来る測定システムの完成を意味する。本年度はマイクロ秒(10^<-6>秒)~ミリ秒(10^<-3>秒)の時間領域を詳細に調べることに集中した。この時間領域においてはポンプ/プローブ法で時間分解測定を行う。この方法はチトクロムc酸化酵素(CcO)に阻害剤である一酸化炭素(CO)をあらかじめ結合させておく。次に酸素飽和した緩衝液と混合する。この溶液にCOを光乖離させるポンプ光(590nmの可視光)を照射する。O_2はCOより1000倍親和性が高いのでCOが光乖離した瞬間にO_2がCcOと反応開始する。フローセルの下流でプローブ光を照射する。二つのレーザーパルスの距離とタイミングの調整で時間分解を達成する。流路中にサンプルを流すためにシリンジポンプを用いた。これにはパルス式と連続式の二種類を検討した。パルス式はレーザーのパルスと同期がとれるので試料の量を節約するには有用ではあるが、瞬間的に流路内の圧力が上がるので接続部の液漏れを起こした。また漏れないようにすると脆いフッ化カルシウムウインドウが割れてしまうこともあった。一方、連続式のポンプでは流路内での試料の流れ方が流路の端と中央では異なり、一様ではないことがわかった。フローセルの形状と接続部分の精度のさらなる向上が必要である。 研究者が今年度研究機関を移動したので、自研究室でCcOの定量が行えるようにSHIMAZU社の可視吸収分光光度計を購入した。
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