2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子モーターの触媒部位における構造変化モニター
Project/Area Number |
22770156
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
足立 健吾 学習院大学, 理学部, 研究員 (60370128)
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Keywords | 1分子計測 / 分子モーター / 構造変化 / F1-ATPase / 触媒部位 |
Research Abstract |
ATP駆動型の生体分子モーターは、基質であるATPの結合・加水分解・生成物の解離といった化学反応を力学的仕事に変換することで作動しており、基本的にKoshland[1958]によって提唱された誘導適合(induced fit)とその逆の過程(言うなればinduced'unfit')によって機能していると考えている。そこで、分子モーター1分子が働いている際の触媒部位そのものの適合(構造)変化や不適合(構造)変化を直接見たいと考えている。本研究では、蛍光性ATPアナログをレポーターとして用いてこの触媒部位で起こる適合・不適合(構造)変化を直接1分子で計測することで、生体分子モーターの化学-力学共役による作動メカニズムの実像に迫りたい。 回転分子モーターであるF_1-ATPaseに結合する蛍光性ATPアナログ(Cy3-ATP)の蛍光強度変化と色素の向きの変化から触媒部位そのもので起こる構造変化をモニターした。F_1-ATPaseの回転とCy3-ATPの結合・解離の1分子同時観察から、Cy3-ATPが結合して120°回転した後と解離直前の240°におけるCy3-ATPの蛍光強度に違いがあることを見いだした。Cy3-ATPの蛍光強度はF_1-ATPaseへの結合で約5倍に上がることから考えて、結合したCy3-ATPの周りの環境の変化、すなわち触媒部位の構造変化に起因する蛍光強度の変化と思われる。それぞれの角度で観察されたCy3-ATPの蛍光強度の違いが触媒部位の構造変化によるものであるかを更に検証するために、蛍光強度測定以外の方法として蛍光色素の向きによる構造変化のモニターを行った。デフォーカスイメージングの手法[Toprak,E., et al.2006 Proc.Natl.Acad.Sci.USA]によって、Cy3-ATPの蛍光色素の向きの変化を3次元で捉えたところ、触媒部位の構造の違いに起因するような変化があることを見いだした。
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Research Products
(7 results)