2011 Fiscal Year Annual Research Report
赤外差スペクトル法によるイオン輸送蛋白質の分子機構解明
Project/Area Number |
22770159
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (80432285)
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Keywords | 赤外分光法 / 時間分解計測 / 生体分子 / 蛋白質 / 生物物理 |
Research Abstract |
界面を隔てた物質輸送・情報伝達を行う膜タンパク質は、方向性を持った構造変化を行うことで機能を発現している。しかしながら、計測手法の未整備から、それら膜タンパク質の構造変化の実態や、機能の発現との関連については不明な点が多い。本研究では、光受容タンパク質で活発に利用されている赤外差スペクトル法を、一般的なチャネルやポンプ等の膜タンパク質に適用する手法を開発し、タンパク質の構造変化と機能発現の分子機構の解明を目指す。具体的には以下の研究課題を提案する。(1)古細菌型ロドプシンの内部結合水の水素結合変化と機能との連関、(2)KcsAチャネルのpH依存的なチャネル開閉の分子機構、(3)V型ATPaseのNa^+イオン輸送とATP加水分解反応との連関。 平成23年度は、(1)に関係する研究課題として、各種古細菌型ロドプシンの時間分解赤外分光計測を行った。塩化物イオンポンプであるpHRについては、L1,L2,N-0中間体への遷移に伴う赤外差スペクトルを得た。Amide Aにアニオン種依存性が見られ、イオン輸送過程での段階的なタンパク質のコンフォメーション変化を明らかにした。プロトンポンプとして機能する古細菌型ロドプシンとして、プロトンの放出と取り込みの順序が異なるAR1(放出;後、取込;先)とAR2(放出;先、取込;後)を比較解析した。その結果、amide I領域で両者に異なる構造変化が見られた。(2),(3)に関連する課題を遂行するため、前年度に導入したストップトフロー装置を組み込んだ全反射型赤外分光法の開発を継続して行った。データの積算などのプログラムを改善し、pHRのC1^-イオンやCO_3^-イオン結合に伴う構造変化を40ms程度の時間分解能で計測することが可能であることを確認した。
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