2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤木 亮次 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (40534516)
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Keywords | 転写制御 / クロマチン / 糖修飾 |
Research Abstract |
本研究では、生化学的な精製手法を用いた核内糖転移酵素OGT複合体の同定から、核内糖(O-GlcNAc)修飾シグナルの生物学的意義を明らかにすることを目的としている。まず、FLAGタグ融合OGT安定発現THP-1細胞株を取得し、抗FLAG抗体アフィニティー精製によってOGT複合体の単離を行なった。これら結合因子群は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析計(MALDI-TOF-MS)を用いたペプチドフィンガープリント法により、それぞれの同定を行なった。その結果、全48因子の同定に成功した。これらの中には、様々なヒストン修飾酵素やATP依存性クロマチンリモデリング因子など、クロマチンの修飾に関わる因子が数多く含まれていた。最近、これら因子を介するクロマチン制御はエピゲノムと呼ばれ、時期・組織特異的な遺伝子発現制御に関係することが明らかとなっている。従って、今回の結果はOGTを介する糖修飾シグナルが第二の遺伝暗号であるエピゲノム制御に重要なことを強く示唆するものであった。実際、これまでに申請者はヒストンメチル化酵素MLL5がO-GlcNAc修飾されることを見出し、これによってグルコース要求性の分化制御機構の一端を明らかにすることができた。一方、ごく最近、申請者はヒストンH2BがO-GlcNAc修飾されることを見出している。今後、準安定的な極微量OGT結合因子の同定に取り組み、ヒストン糖修飾によるエピゲノム制御機構の全貌を明らかにしたい。
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