2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷の感知機構と修復機構のリン酸化による切り換えメカニズムの解明
Project/Area Number |
22770178
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
古谷 寛治 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (90455204)
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Keywords | チェックポイント / Rad9 / DNA修復 / DDK / リン酸化 / DNA損傷 |
Research Abstract |
真核細胞の染色体DNAは紫外線や放射線、酸化ストレスにより常に損傷をうけている。その損傷は(1)DNAチェックポイント機構により感知して細胞分裂を止めたのちに(2)DNA修復機構により直される。これら二つのタンパク質群はDNA損傷部位において連携することでより効果的にDNA損傷を修復していると予想される。本研究では先にDNA損傷部位へとリクルートされるチェックポイントタンパク質が効率よくDNA損傷部位から取除かれる事が続く損傷修復を円滑に進める上で重要であるとの仮説を立てそれを分子生物学的に検証した。具体的にはチェックポイントタンパク質Rad9のリン酸化に注目し、リン酸化されない変異タンパク質はDNA損傷部位からRad9が解離しない事、また、その変異タンパク質を発現する細胞ではDNA損傷修復が開始するが完了しない事を見出した。これらの結果からRad9がタイミングよくリン酸化を受ける事でDNA損傷部位を検出したチェックポイントタンパク質を取除き、修復酵素が損傷部位の全領域にアクセス出来る様にしているとのモデルをたてた。チェックポイントタンパク質はこれまでDNA修復を円滑に進めることでヒト等ではがんの抑制に働いている事が示唆されていたが、本成果がその基盤機構となるものであり、発がんの機構に迫る事が出来たと考えられる。
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Research Products
(9 results)