2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 京子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90568932)
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Keywords | ストレス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞はヒ素や低酸素などの特定の種類のストレス刺激に応答して細胞質内にストレス顆粒と呼ばれる一過性の構造体を形成する。細胞質内ストレス顆粒は、タンパク質の翻訳を一時的に停止し、細胞損傷を防ぐための構造体であると考えられて来た。しかし、申請者のこれまでの研究から、ストレス顆粒は複合ストレス条件下で、他のストレス応答機構と相互作用し、細胞の生存に寄与する新しい機能を持つことが明らかになった。そこで本研究では、複合ストレス条件下でのストレス顆粒形成の制御に焦点をあて、ストレス顆粒形成制御機構を明らかにするとともに、病態におけるストレス顆粒の細胞生存への寄与を検証する。 アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)に代表される神経変性疾患では、細胞に小胞体ストレスと酸化ストレスの両方が誘導されることが知られるが、病態における両ストレスの相互作用の詳細には不明な点が多い。小胞体ストレスは、翻訳開始因子eIF2αのリン酸化を介してストレス顆粒を誘導するが、活性酸素などの酸化ストレスによるストレス顆粒形成制御に関してはほとんど報告がない。そこでまず、U20S細胞に酸化ストレスとして過酸化水素を添加し、ストレス顆粒形成に与える影響を検証した。次に、ストレス顆粒形成の核となることが知られる数種類の分子に着目し、酸化ストレス依存的に酸化修飾を受ける因子の同定を行った。更に酸化のターゲットとなるCys残基を同定し、Ser残基に置換した変異体を細胞に過剰発現させた時に、ストレス顆粒形成に与える影響を検証した。次年度は更に、小胞体ストレスと酸化ストレスがストレス顆粒形成に与える相互的な作用を検証し、病態への関与を解明する。
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