2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運動を調節するレドックス・センシングとシグナリングの分子機構
Project/Area Number |
22770189
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (80420248)
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Keywords | クラミドモナス / レドックス / 鞭毛 / ダイニン / チオレドキシン |
Research Abstract |
本研究の目的は、鞭毛運動や走光性のモデル生物である単細胞緑藻クラミドモナスを用いて、鞭毛運動のレドックス(酸化還元)調節の分子機構を明らかにすることである。 本年度は、実験の進行上、当初の平成23年度計画である走光性の解析を先に行った。これまでに見出した緑藻クラミドモナスの走光性符号(光源に向かう正の走光性か、逆に逃げる負の走光性か)の切り替えのレドックス調節を詳細に分析した。その結果、酸化剤処理(活性酸素種)で正の走光性、抗酸化剤(活性酸素種消去剤)処理で負の走光性を示すこと、その効果が濃度依存的かつ可逆的であることを見出した。さらに、一重項酸素(植物細胞ではそれ自体では細胞毒性がないと考えられている)は他の活性酸素種のように走光性に影響を与えないことから、それ自体で細胞毒性のある活性酸素種に限って走光性調節シグナルとして機能することがわかった。藻類の走光性は古くから知られているが、正負の符号切り替え機構を明らかにしたのはこれが初めてである。また、細胞運動にレドックス・シグナルが関わっていることを具体的に示したのもこれが初めてであり、細胞生物学の広い分野への波及効果が期待できる。これらの結果を論文としてまとめ、PNAS誌に受理された。 さらに、上記の走光性レドックス調節が異常となるクラミドモナス突然変異株を新たに単離した。現在、原因遺伝子解析を行っており、平成24年度計画に記載したagg1遺伝子の解析とともに、来年度中の同定・機能解析を目指す。
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[Journal Article] bop5 mutations reveal new roles for the IC138 phosphoprotein in the regulation of flagellar behavior2011
Author(s)
VanderWaal, K.E., Yamamoto, R., Wakabayashi, K., Fox, L., Kamiya, R., Dutcher, S.K., Bayly, P., Sale, W.S., and Porter, M.E.
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Journal Title
Molecular Biology of the Cell
Volume: 22
Pages: 2862-74
DOI
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