2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770190
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
成田 啓之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (50452131)
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Keywords | 繊毛 / 脈絡叢 / 上皮細胞 / プロテオミクス / ライブセルイメージング |
Research Abstract |
担当者は発生学的に近縁でありながら相異なる繊毛を持つ2種類の脳室系上皮細胞[脈絡叢上皮細胞(CPEC;一次繊毛)と上衣細胞(EPD;従来型繊毛)]を用い、繊毛の分化に関する根本的な問題をライブセルイメージング、プロテオミクス,比較ゲノミクスなどの手法を用いて解明することを試みている。昨年度までにおこなったブタCPECの繊毛プロテオミクス解析の成果に基づき、平成23年度に得た研究成果は以下の通りである。 1.CPECの繊毛運動機能を高速ビデオ撮影などによって詳細に解析し、以下の結果を得た。(1)この繊毛は出生前後に最も活発に運動するが、その後2週間ほどかけて次第に衰え、最終的に不動となることを見いだした。(2)この繊毛の運動様式には不均一性が見られ、大部分はEPDの従来型繊毛のような鞭打ち運動に似ていたが、回転運動をするものもあり、出生直後において既に不動の繊毛も混在していた。(3)Efhc1という分子はEPDの従来型繊毛に局在して繊毛運動に関与するが、CPECにも胎児期において一過性に発現することが知られている。この遺伝子を欠いたノックアウトマウスではCPECの繊毛運動機能が低下していた。 2.活発に運動をしている時期のCPEC繊毛の超微細構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、9+0型の典型的な一次繊毛に加え、9+0以外の軸糸構造を持つ非典型的な繊毛が多く見られ、これらが1つの細胞に混在していることを見いだした。以上の知見はCPECの繊毛が始め従来型繊毛もしくは非典型的な運動繊毛として形成され、その後成熟に伴い一次繊毛へと変化していくことを示唆しており、脊椎動物における繊毛の発生・分化に関する新規分子機構の存在を示す結果であった。
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Research Products
(7 results)