2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770199
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
齋藤 成昭 久留米大学, 分子生命科学研究所, 准教授 (30352123)
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Keywords | 分裂酵母 / グルコース代謝 / 遺伝学 / 細胞機能 |
Research Abstract |
グルコース(ブドウ糖)は、真核生物にとって根幹的な炭素源であり、またエネルギー(ATP)源です。従って、効率的にグルコースを消費(取り込み・代謝)することが、エネルギー依存的な生理プロセスを進めるために重要となります。本研究では、効率的なグルコース利用に必要となる遺伝子群を同定し、その機能を解明することを目指しました。昨年度までの結果に基づき、本年度は、まず代表的なLGS変異株(低グルコース環境下で生育できない変異株)について、細胞内へのグルコース取り込み速度を測定しました。当初計画では、蛍光標識グルコースを利用して測定することを考えていましたが、予備的調査の結果、蛍光グルコースと通常のグルコースでは、その取り込みメカニズムに違いがあることが分かりましたので、C14放射性標識グルコースを用いる方法に切り替えました。その結果、いくつかのLGS変異株では、低濃度グルコースの取り込み速度が有意に低下していることが判明しました。ミカエリスメンテンモデルに従い計算したところ、それらの変異体では、細胞全体として見た場合のグルコース輸送の酵素的親和性が低下しているようでした。そこで、それらの変異体中でのグルコース輸送体(トランスポーター)の遺伝子発現レベル、もしくは細胞内局在を調べたところ、LGS変異体では輸送体遺伝子の発現上昇、もしくは輸送体タンパク質の細胞表面への局在化に異常が生じていることが明らかとなりました。これらの結果により、(1)グルコース濃度低下に応答したトランスポーター遺伝子の発現制御、(2)トランスポータータンパク質の細胞内輸送機構、に関わる遺伝子群が明らかとなりました。現在、これらの結果をまとめた論文の投稿準備を進めています。
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