2010 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色分体接着の分子基盤:再構成コヒーシンを用いたアプローチ
Project/Area Number |
22770201
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新冨 圭史 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 協力研究員 (60462694)
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Keywords | コヒーシン / 姉妹染色分体接着 / カエル卵無細胞系 / 染色体 / コンデンシン |
Research Abstract |
コヒーシンは姉妹染色分体の接着に中心的な果たすタンパク質複合体である。今年度は、組換えタンパク質を用いて様々なコヒーシン複合体を再構成し、それらの機能を検定するためにカエル卵無細胞系を用いた解析方法を検討した。その過程で、コヒーシンを無細胞系から除去すると、姉妹染色分体接着が著しく損なわれるだけでなく、分裂中期染色体の形状にも影響が及ぶことを見出した。そこで、染色体凝縮に必要なコンデンシン複合体(IおよびII)とコヒーシン複合体の存在量を操作する方法を考案し、両者の機能的相互作用について詳細な解析を進めた。その結果、コヒーシンは、その大半が分裂前期に染色体から解離することによってコンデンシンIIの染色体軸への集積を促す一方で、染色体上に残ったものはコンデンシンIと協調して姉妹染色分体の並列性の維持に貢献することが明らかになった。また、無細胞系において従来の方法とは異なる小さなDNAを染色体の鋳型として用いることによって、コヒーシンのDNAへの結合が高い効率で観察できることも判明した。これらの結果は、コヒーシンが染色分体接着以外の現象に関与する可能性を示唆するだけでなく、それらの解析に適した技術的基盤も整いつつあることを示している。来年度は、卵無細胞系に内在するコヒーシンを様々な再構成コヒーシンと置換することによって、コヒーシンの各サブユニット(特にATPの加水分解活性を持つことが予想されるSmc1およびSmc3)が様々な現象に果たす役割を分子レベルで理解することを目指したい。
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Research Products
(3 results)