2011 Fiscal Year Annual Research Report
letー7マイクロRNA依存的発生タイミング経路のゲノムワイド解析
Project/Area Number |
22770207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 隆介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60507945)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 / 線虫 / 発生タイミング / マイクロRNA / クロマチン構造制御因子 |
Research Abstract |
市販のゲノムワイドRNAiライブラリーを利用し、apl-1::GFPの発現に影響を及ぼす遺伝子を摂食RNAi法によってスクリーニングした。昨年度までに本研究代表者は、apl-1::GFPの発現に顕著な影響を及ぼす遺伝子として、複数のクロマチン構造制御因子を同定した。本年度の研究では、これらの遺伝子が、上皮細胞の分裂と分化、そして成虫特異的コラーゲン遺伝子の発現といった幼虫から成虫への成熟化に広くに関与することを見出した。次いで本研究代表者は、これらのクロマチン構造制御因子がlet-7マイクロRNA経路に対する具体的な機能を分子遺伝学的および生化学的に追究した。その結果、同定した遺伝子の1つlin-59は、let-7マイクロRNAそのものの発現を負に調節する役割を持つことを見出した。lin-59の1次構造は、ヒストンメチル基転移酵素と高いホモロジーをもつ。この情報を元に生化学的な解析を行ったところ、1in-59機能欠損個体ではピストンの第9番目のリジン残基のヒストンメチル化が著しく低下していることが判明した。これらの結果は、1et-7マイクロRNAの発現制御には、ヒストンのメチル化を介したエピジェネティックな制御が関与することを強く示唆する。 1et-7マイクロRNAの発現は、最終分化を遂げた細胞で非常に高く、逆に未分化な細胞では低いという特徴が進化的に高度に保存されている。しかし、こうした細胞分化状態に応じた時間的発現パターンを制御するメカニズムは現在に至るまでほとんど解明されていない。本研究の成果は、1et-7マイクロRNAの発現制御という重要な課題の解明に足がかりを与えるはじめての知見である。
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