2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚予定外胚葉において表皮と神経の運命分岐を制御する新規分子の機能解析
Project/Area Number |
22770211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 杜央 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (80378843)
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Keywords | シグナル伝達 / 発生 |
Research Abstract |
脊椎動物の初期胚発生過程においては、最初に外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる三種類の細胞集団が形成され、その後、外胚葉からは神経や表皮などが、中胚葉からは心臓、筋肉、骨格、血液などが、内胚葉からは消化管や呼吸器などが、それぞれ発生していく。本研究では、未分化外胚葉において表皮と神経の運命分岐を担う新規の分子機構を解明することを目指した。具体的には、外胚葉の表皮への分化を促進する新規分子として我々が同定した、一回膜貫通型タンパク質EIG121Lについて、その具体的な作用機構を解析した。まず我々は、未分化外胚葉においてEIG121Lをノックダウンすると、BMP経路を伝達する細胞内シグナル分子Smad1のリン酸化が顕著に抑制されることを見出した。さらに免疫沈降実験により、EIG121Lが複数のBMP受容体と結合することを明らかとした。また、免疫染色実験により、初期胚外胚葉細胞の細胞膜、小胞体、ゴルジ体にEIG121Lが局在していること、そして少なくても細胞膜においてはEIG121LとBMP受容体が共局在しうることが分かった。以上の結果より、EIG121LがBMP経路制御因子として膜近辺で働くことが示唆された。この研究成果は、2011年2月にJournal of Biological Chemistry誌に論文として掲載された(Araki, T., Kusakabe M., and Nishida, E.J.Biol.Chem.286, 6760-6768 (2011).)。
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