2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770215
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白鳥 秀卓 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90362590)
|
Keywords | 発生・分化 / 左右軸 / 器官形成 / Pitx2 |
Research Abstract |
左右非対称な器官の形成機構について、以下の成果を挙げた。 1・心臓流出路の形成機構について (1)前年度に作成した野性型では心臓流出路で非対称に発現するFgf10が左右対称に発現するマウスの解析を行なった。その結果、Fgf10を左右対称に発現させても心臓の左右非対称性に明らかな異常は見られず、他のFgfによる代償が起こっている可能性が示唆された。この結果は、心臓流出路の左右非対称な形成機構を解明する一歩となった。 2.肢芽におけるPitx2の左側特異的な発現について (1)肢芽における左側特異的なPitx2発現細胞の細胞系譜を解析した結果、Pitx2は左側板中胚葉で発現を開始し、発生が進むにつれ沿軸中胚葉の細胞でも発現を開始していることが分かった。発生後期におけるPitx2発現細胞の割合は、側板中胚葉由来の細胞より沿軸中胚葉由来の細胞の方が多くなることが分かった。この結果は、マウスの肢芽の左右非対称性やPitx2の左右非対称な発現の維持機構を解明するために重要な発見であった。 (2)Pitx2は、左肢芽の背尾側に偏った発現をしている。この左肢芽の背尾側の細胞について、Pitx2変異マウスと野性型の細胞増殖を比較した。その結果、Pitx2変異マウスでは、野性型に比べて細胞増殖が盛んに起こっていることが分かった。しかしながら、Pitx2変異マウスと野性型の四肢の形態の違いは検出できなかった。Pitx2変異マウスの増殖が盛んな細胞の周囲では細胞増殖が低下していることも分かり、この代償的な反応のためにPitx2変異マウスと野性型の形態の違いを検出できていないことが示唆された。 これらの結果は、マウスの肢芽の左右非対称性を解明するために重要な手がかりになると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
22年度まで心臓流出路の解析を行なっていた大学院生が、23年度は休学した。また、心臓流出路の解析については、当初の予想と異なる結果も得られたので、新たな解析が必要になった。このような状況の中、四肢の解析を中心に行なって来たこともあり、心臓流出路の解析がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
心臓流出路の解析については、当初の予想と異なる結果も得られたが、新たにトランスジェニックマウスを作成し、解析を進めていく。また今後は、Pitx2発現細胞とそれ以外の細胞、野性型とPitx2変異マウスにおける細胞移動の観察など細胞レベルでの解析を進めていく。 四肢の解析については、左右非対称な細胞の振る舞いについては解析が進み、24年度には論文報告する。また今後は、運動機能の左右性やPitx2変異マウスにおける異常行動など機能的な役割や、下流遺伝子の探索を中心に解析していく。
|
Research Products
(4 results)