2011 Fiscal Year Annual Research Report
周期的な変動を示すマウス精子幹細胞の実体およびその維持機構の解明
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22770226
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
北舘 祐 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 助教 (10455214)
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Keywords | 生殖細胞 / 幹細胞 |
Research Abstract |
個体の一生を通じて精子が作られ続けるためには、精子を供給する大元となる精子幹細胞が必要です。しかし、精子幹細胞の実体やその維持機構は、ヒトを含むほ乳動物精巣においてほとんど明らかになっていません。本研究は精子幹細胞および精子幹細胞を制御している微小環境(ニッチ)の実体を細胞・分子レベルで解明することを目標とします。私たちは精子幹細胞およびニッチで特異的に発現する遺伝子を同定するために、第一に、精子幹細胞/ニッチが偏在する精巣内の血管付近の細胞群をレーザーマイクロダイセクション法により採取し、第二に、これらを用いてマイクロアレイ解析を行い、特異的発現を示す遺伝子を解析・同定しました。第三に、これら遺伝子について、in situ ハイブリダイゼーション解析を行い、各遺伝子の精巣内での空間的な発現パターンを調べました。これまでに、400遺伝子についてin situ ハイブリダイゼーション解析を行い、精巣内の血管付近で特異的に発現する遺伝子を20同定しました。その後、血管付近で特異的に発現する20種の遺伝子がそれぞれ精巣中のどの細胞で発現しているかを調べました。このとき、その細胞と精子幹細胞との空間的な位置関係をも明らかにするために、各遺伝子の発現パターンを3次元的に解明することを試みました。現在まで、同定された20種のうち、PDGFRαとCXCL12が精細管表面の一部の細胞でそれぞれ特異的に発現することが明らかとなりました。精子幹細胞の大部分はPDGFRαとCXCL12を発現する細胞の近くに存在することから、この細胞が精子幹細胞ニッチであることが示唆されました。今後、この細胞が精子幹細胞に対しどのような役割を果たしているのかについて解析を進めます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は精子幹細胞/ニッチの実体を細胞・分子レベルで明らかにすることを目標としています。これまでのスクリーニングにより、精子幹細胞/ニッチが存在すると推察される領域に特異的に発現する遺伝子が同定されています。さらに、これらを用いて精子幹細胞/ニッチを細胞レベルで同定することに成功しており、当初の計画どおり順調に進んでいると自己評価します。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、マウス精子幹細胞/ニッチが細胞・遺伝子レベルで同定されてきました。今後、同定された精子幹細胞/ニッチで発現する遺伝子をもとに、精子幹細胞/ニッチの性質や機能について解析していきます。
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Research Products
(3 results)