2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物における初期発生システム多様性の進化発生学的研究
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22770229
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 専門職研究員 (00392019)
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Keywords | 初期発生 / ポリプテルス / オーガナイザー / ホメオボックス転写因子 / siamois / 条鰭類 / 脊椎動物 / 三胚葉 |
Research Abstract |
シュペーマンが両生類胚において見出した背側オーガナイザーは、今や様々な脊椎動物で共通の概念であり、誘導現象の分子実体やオーガナイザーそのものの形成機構について多くの知見が蓄積されている。中でも母性Wntシグナルは、進化的にも発生学的にも脊椎動物オーガナイザー形成の出発点と目される。Xenopus胚においては、siamoisとそのパラログtwinが母性Wntシグナルから直接の標的遺伝子として発現調節され、転写活性化因子としてその下流機能を担う事が知られている。具体的にsiamois/twinは、過剰発現により頭部を持つ完全二次軸を誘導し、機能阻害により頭部欠損の表現型となる。しかしながら、このようなXenopus胚発生における重要性、または、近年の様々なゲノム情報の蓄積にも拘らず、これまで他の生物でのsiamois相同遺伝子は見つかっていなかった。 本研究では、Xenopus胚で完全二次軸を誘導できる因子として、最も原始的な条鰭類ポリプテルスのsiamois関連遺伝子dioskouroi(dios)を単離した。diosは、少なくとも既知のすべての配列中でsiamois/twinに最も保存性の高いホメオドメイン配列を持つ。また、siamois/twinと類似の転写活性化能を持つだけでなく、Xenopus胚における内在のsiamois/twin機能を補完できる。従って系統的に、四肢動物と硬骨魚の共通祖先はsiamois関連遺伝子を保持していたが、羊膜類と真骨魚では別の分子機構の獲得と共にそのゲノムからは失われた事を示唆している。ポリプテルス胚においても、diosはWntシグナルの下流因子として働き、興味深い事にdiosの機能阻害表現型は頭部欠損表現型よりシビアで、体軸が全く形成されない。現在、この表現型解析を中心に、ポリプテルスの胚発生における機能解析を詳細に行っている。
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Research Products
(5 results)