2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物における初期発生システム多様性の進化発生学的研究
Project/Area Number |
22770229
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 専門職研究員 (00392019)
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Keywords | 初期発生 / ポリプテルス / オーガナイザー / 三胚葉 / siamois / Wntシグナル / 条鰭類 / 脊椎動物 |
Research Abstract |
シュペーマンが両生類胚において見出した背側オーガナイザーは、今や様々な脊椎動物で共通の概念であり、誘導現象の分子実体やオーガナイザーの形成機構について多くの知見が蓄積されている。中でも母性Wntシグナルは、進化的にも発生学的にも脊椎動物オーガナイザー形成の出発点と目される。Xenopus胚においては、siamoisとそのパラログtwinが母性Wntシグナルから直接の標的遺伝子として発現調節され、転写活性化因子としてその下流機能を担う事が知られている。具体的にsiamois/twinは、過剰発現により頭部を持つ完全二次軸を誘導し、機能阻害により頭部欠損の表現型となる。しかしながら、このようなXenopus胚発生における重要性、または、近年の様々なゲノム情報の蓄積にも拘らず、これまで他の生物でのsiamois相同遺伝子は見つかっていなかった。 本研究では、Xenopus胚で完全二次軸を誘導できる因子として、最も原始的な条鰭類ポリプテルスのsiamois関連遺伝子dioskouroi(dlos)を単離した。前年までに、diosがsiamois同様に転写活性化因子として働き、Xenopus胚発生におけるsiamoisの内在機能を補完できる事がわかっていた。従って、diosはsiamoisの相同遺伝子である。しかしながらsiamoisとは異なり、ポリプテルス胚発生において、diosは背側Wntシグナルの下流でオーガナイザー形成のみならず中内胚葉の分化にも必要とされる事がわかった。このsiamoisとdiosの両動物種における役割の違いは、初期胚のパターニングにおける母性Wntシグナルを中心とした遺伝子ネットワークがどのように多様化したのかを知るための足がかりとなる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Overview of the transcriptome profiles identified in hagfish, shark, and bichir : current issues arising from some nonmodel vertebrate taxa2011
Author(s)
Takechi M., Takeuchi M., Ota K. G., Nishimura O., Mochii M., Itomi K., Adachi1 N., TakahashiM., Fujimoto S., Tarui H., Okabe M., Aizawa S., Kuratani S.
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Journal Title
Journal of Experimental Zoology Part B : Molecular and Developmental Evolution
Volume: 316B
Pages: 526-546
Peer Reviewed
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