2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚の背腹軸決定における形成体発生場の自発的な単一収束機序の解析
Project/Area Number |
22770230
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
猪股 秀彦 独立行政法人理化学研究所, 器官発生研究グループ, 研究員 (60372166)
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Keywords | アフリカツメガエル / 初期発生 / 自己組織化 / BMP / 背腹軸 |
Research Abstract |
本研究課題である、背側領域の自発的な単一収束を明らかにするためには、背腹軸形成過程におけるシステム制御機序を明らかにする必要がある。背腹軸形成においては、背側領域のオーガナイザーが分泌するモルフォゲンの濃度勾配が中心的な役割を果たしている。前年度では、この濃度勾配の形成過程を明らかにするために、産生・分解・拡散に注目して各々のパラメータのin vivo計測の系の立ち上げ、および実際に計測を行った。 本年度は、これらの結果に基づき、以下に示す二点について更に解析を行った。 1.濃度勾配を構築する産生・拡散・分解のより詳細な定量 拡散係数の計測に関しては、新たにFCS(Fluorescence correlation spectroscopy)を用いて計測を行った。その結果、背腹軸形成に関わる分泌タンパク質の間に顕著な差は認められなかった。産生に関しては、in vivoにおいてBMPの濃度依存的に背側(高濃度)・側方(中濃度)・腹側(低濃度)遺伝子の発現が制御されており、かつこれらの産生は非線形な産生パターンを示していた。このことから、in vivoにおいてはBMPの濃度勾配依存的に適切な遺伝子の発現が制御されていることが示された。分解に関しては、背腹軸形成に関与する分泌タンパク質の間に大きな差が認められた。分解の早い分子は1時間以内に速やかに分解される一方、分解の遅いものは6時間後も安定であった。 2.定量データに基づく数理モデルの構築および検証 上記で得られた定量データをもとに、背腹軸形成における濃度勾配の形成過程を数理モデル化した。特に、本研究においては上記解析結果より蛋白質分解に強く依存したモデルを構築し、かつこのモデルが実際の発生過程を反映したモデルである事を実験的に検証した。
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