2012 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内微生物叢からみた食性の適応進化に関する研究
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22770234
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 明男 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (50336294)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 食性 / 消化管内微生物叢 / 16S rRNA / 進化 / アカネズミ / コウベモグラ |
Research Abstract |
哺乳類の消化管内に共生する微生物叢は、食物の栄養利用に大きく寄与していることが明らかとなっている。大型動物を用いた研究成果から、草食動物の消化管内微生物叢は、肉食動物の消化管内微生物叢よりも複雑な生態系を構築していることが明らかとなっている。しかし、小型哺乳類にも多種多様な食性が存在しているが、小型哺乳類における食性の進化について消化管内微生物叢に着目して行われた研究は殆どない。そこで本研究では、小型哺乳類の消化管内微生物叢を16S rRNA遺伝子を用いて分子生態学的に同定し、食性の進化を消化管内微生物叢の多様性の観点から検討することを目的とした。平成24年度は、野外捕獲した雑食性のアカネズミ(Apodemus speciosus)の盲腸内微生物叢、昆虫食性のコウベモグラ(Mogera wogura)の下部消化管内微生物叢を明らかにした。さらには、野外捕獲した草食性齧歯類のハタネズミ(Microtus montebelli)の前胃内微生物叢を明らかにした。その結果、草食性の小型齧歯類においては、盲腸内で微生物叢の多様性が高いものの、前胃内の微生物叢の多様性は低いことが明らかになった。この結果は小型齧歯類の前胃が大型動物の前胃とは根本的に役割が異なっていること、さらには難消化性物質等の分解は主に盲腸で行われていることを示唆している。また、雑食性の小型齧歯類の盲腸内微生物叢は、これまでに報告された雑食性の大型動物の消化管内微生物叢と比較しても遜色ない多様性を保持していること、昆虫食性のモグラの下部消化管内微生物叢の多様性は極めて高く、肉食性の大型動物の消化管内微生物叢よりも複雑な微生物生態系を保持している可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に生じた実験の遅れを、平成24年度に概ね取り戻すことが出来た。当初に予定していた野外捕獲個体の解析が順調に進んでいる。また、同一種内における消化管内の部位毎における微生物叢の違いについても検討が可能になりつつあり、より多様な知見が得られている。一方で、学会発表および論文作成による成果発表が遅れており、平成25年度は得られたデータの解析および成果発表を主とする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、草食性齧歯類の消化管内微生物叢の多様性は、盲腸において高いものの、前胃では極めて低いことが明らかとなった。これは小型齧歯類の前胃は、大型動物の前胃とは異なる働きをもっていること、さらには難消化性物質等の分解は主に盲腸で行われていることを示唆している。さらには、雑食性の小型齧歯類の盲腸内微生物叢の多様性は、これまでに報告された雑食性大型動物の消化管内微生物叢の多様性と比較しても極めて高いことが示された。さらに、昆虫食性の下部消化管内微生物叢の多様性は、肉食性大型動物の消化管内微生物叢と比較しても極めて高い事があきらかとなった。 平成25年度は野外捕獲した草食性齧歯類の盲腸内消化管内微生物叢の解析を続けると共に、これまでに得られたデータを総合的に解析し、学会発表および論文作成を行うこととする。
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Research Products
(1 results)