2010 Fiscal Year Annual Research Report
パプアニューギニアの高地に住む人々の低タンパク食適応における腸内細菌叢の役割
Project/Area Number |
22770241
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩瀬 忠行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80385294)
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Keywords | 人類学 / 細菌学 / 栄養学 / 適応・進化 |
Research Abstract |
〈当該年度に実施した研究の成果〉 1)本申請者は、2010年度において、パプアニューギニアのサツマイモ、ならびにヒト(日本人)由来サンプルから、窒素固定遺伝子を持つ細菌を見出した。 2)窒素固定遺伝子を保有する細菌を選択的に生育させることができる新規選択培地を開発した。 3)本申請者が分離した窒素固定遺伝子保有株、ならびに窒素固定遺伝子のない株も含め、現在4株についてドラフトシーケンスの取得を行った。 以下に、上記知見の発展性、意義、ならびに重要性等について述べる。 1)本申請者が見出した窒素固定遺伝子を保有しかつその機能を有するものについては、全ゲノム塩基配列取得後、さらに詳細な解析(他の株との比較:進化系統)を行う。2011年度以降においては、本菌の属する様々な菌を集め、系統的な解析を行い、由来・系統・表現型の間に相関が見られるかどうかについて、ゲノム解析を行い、研究を発展させる。 2)またパプアニューギニアの高地に住む人々からも上述の細菌を本申請者が前年度開発した選択培地を用いて分離する予定である。加えて、標的細菌の解析のみならず、低タンパク食に適応した人々の腸内細菌叢の解析(メタゲノム解析)も行う予定である。 3)2011年度以降には、本申請者が分離した窒素固定遺伝子を保有しかつその機能を有するものを用いて、動物実験を行い、哺乳動物における窒素固定細菌の役割を検討する。本検討は世界的に見ても例はなく、極めて重要な知見をもたらすものと期待される。2011年度に関しては、これらの菌を用いて、予備的検討を行い、本目的に適した実験条件の決定を行う予定である。
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