2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゴマ種子に含まれる機能性成分の高蓄積に関わる転写活性化機構の解明
Project/Area Number |
22780001
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 将之 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 講師 (10456402)
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Keywords | 転写制御 / 種子成分 / ゴマ / 転写因子 |
Research Abstract |
種子貯蔵タンパク質遺伝子や貯蔵油脂の生合成にかかわる遺伝子とは異なり、植物の種子に比較的少量含まれる、機能性を有する二次代謝産物の生合成系遺伝子の発現制御機構に関する知見は非常に乏しい。本研究では、ゴマ種子に多く含まれる機能性成分(セサミンなどのリグナン類(ゴマリグナン)とトコフェロール)の生合成系遺伝子の転写活性化メカニズムの解明を試みている。 前年度の研究において、他植物種で貯蔵油脂の生合成にかかわると報告されている転写活性化因子の調査を行い、2種の因子(SebHLHとSeWRI)が機能性成分生合成系遺伝子の発現にも関与する可能性が示された。そこで、本年度は双子葉植物において、種子貯蔵タンパク質遺伝子の発現に関与する転写活性化因子について調査を行った。ゴマよりそれらの転写活性化因子の単離が難しかったため、シロイヌナズナから6種のbZIP型因子(AtbZIP1、AtbZIp10、AtbZIP25(スプライシングバリアントと考えられる2種)」AtbZIP53、およびABI5)とB3型因子のLEC2を単離し、7種の機能性成分生合成系遺伝子のプロモーター領域に対して転写活性化能を示すか否かを、前年度に構築したゴマ培養細胞を用いた一過的発現解析により調査した。その結果、いずれの転写活性化因子もゴマの種子貯蔵タンパク質遺伝子(11S globulin)に対しては、その度合いは高くはないものの、転写活性化能を示したが、機能性成分のプロモーター領域からは顕著に転写を誘導することはなかった。従って、今年度調査した因子は、ゴマの機能性成分生合成系遺伝子の転写にはかかわらないか、関与するとしても主要な役割は果たしていないと考えられる。現在は、本研究により、多くの機能性成分生合成系遺伝子の転写誘導にかかわることが示された、SebHLHを過剰発現させたシロイヌナズナの作出を試みており、過剰発現体のトコフェロール生合成系遺伝子の発現や、トコフェロール含量の測定を行うことで、in vivoでの役割について調査する予定である。
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Research Products
(2 results)