2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネのペルオキシソームにおけるアセトアルデヒド脱水素酵素の生理機能の解明
Project/Area Number |
22780011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三屋 史朗 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70432250)
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Keywords | イネ / アセトアルデヒド脱水素酵素 / グリシンベタイン / 分子生物学 / ペルオキシソーム |
Research Abstract |
グリシンベタイン非蓄積植物であるイネにおけるベタインアルデヒド脱水素酵素(BADH)がアセトアルデヒドの脱水素反応に関与することに注目し、イネのペルオキシソームにおけるアセトアルデヒド脱水素酵素の生理機能の解明を目的として、以下の研究を行った。 1.様々な植物種のBADHタンパク質の機能解析。イネ科植物のイネ、オオムギ、ヤンソウ、トウモロコシ、ソルガム、ヒユ科植物のホウレンソウ、アブラナ科植物のシロイヌナズナ、および糸状菌のAlternaria alternataにおけるBADH遺伝子をpET32aベクターに挿入し、大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を作製した。オオムギおよびヤンソウのBADHのひとつずつがアセトアルデヒド脱水素反応を触媒しなかったが、そのほかのBADHはアセトアルデヒド脱水素反応を触媒した。ホウレンソウ、Alternaria alternataのリコンビナントタンパク質は不溶化して精製することができなかった。 2.様々な植物種のBADHタンパク質の細胞内局在性解析。BADHタンパク質の機能を考える上で、BADHの基質特異性と同様に細胞内局在性が重要であるため、細胞内局在性を蛍光抗体法により調べた。オオムギ、ヤンソウなどのイネ科植物ではBADHタンパク質はサイトソルおよびペルオキシソーム様粒状オルガネラに見られた。ホウレンソウやオカヒジキなどのヒユ科植物では葉緑体、またヒマワリなどのキク科植物では葉緑体以外の粒状オルガネラにおいてBADHタンパク質が局在することが明らかになった。 3.BADH遺伝子改変イネの作出。イネにおけるOsBADH1およびOsBADH遺伝子の発現量を減少させるために、アンチセンス方向にOsBADH1およびOsBADH2を組み込んだpCAMBIA1300ベクターをアグロバクテリウム法により感染させたイネのT1個体を各20ライン得た。さらにT1個体においてOsBADH1およびOsBADH2遺伝子の発現量が変化したラインを各5ライン選抜し、T2個体を得た。 4.BADH遺伝子改変シロイヌナズナの作出。シロイヌナズナにおけるBADH伝子の発現量を減少させるために、RNAi用コンストラクトを2種類作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度研究計画である、(1)リコンビナントBADHタンパク質を用いたカイネティクス分析、(2)植物BADHタンパク質の細胞内局在性解析、(3)イネBADH遺伝子改変植物作出の続き、については、計画通り実行することができた。さらに(4)(5)でのシロイヌナズナを用いたBADH遺伝子改変植物については、平成22年度においてBADH遺伝子にT-DNAの挿入されたラインが入手することが現在においても困難であり、その結果平成23年度の研究を遂行することはできなかった。しかしRNAi法によるBADH遺伝子改変に方法を切り替え、実験は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、シロイヌナズナBADHタンパク質の生理機能の解明には、BADH遺伝子にT-DNAが挿入されたシロイヌナズナをArabidopsis Biological Resource Center(ABRC)から入手し、使用する予定だったが、現在のところBADH遺伝子のノックアウトされた株が入手困難であるため、RNAi法によるBADH遺伝子のノックダウンをすることに切り替えた。したがって、BADH遺伝子改変シロイヌナズナの作出を新たに次年度の研究計画に盛り込むことにした。
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Research Products
(7 results)