2010 Fiscal Year Annual Research Report
着粒位置別のタンパク質蓄積パターンからみた大麦硝子粒の発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
22780016
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
池永 幸子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・北陸水田輪作研究チーム, 任期付研究員 (10546914)
|
Keywords | 作物品質 / 大麦 / 硝子粒 / タンパク質 |
Research Abstract |
平成22年度は、研究計画に即して2つの研究を行った。 1.硝子粒を形成するタンパク質組成の解明および硝子粒耐性による品種・系統の分類-(大麦粒中の硝子質組織と正常質組織のタンパク質組成の差異)では、まず大麦水溶性タンパク質と貯蔵タンパク質の分析条件の確立を行った。具体的には、硝子質組織と正常質組織の取り出し方法と、明確なバンドパターンが得られるタンパク質抽出条件、電気泳動条件を探索し、確立した。この結果によって、硝子粒発生メカニズムとタンパク質蓄積との関係を明らかにするための手法が確立された。確立した分析条件に従って、数品種・系統を分析したところ、いずれの品種・系統でも水溶性タンパク質の量と組成には違いはなく、一方で、硝子質組織の貯蔵タンパク質は、含有量が多く、組成比も正常質組織とは異なることが明らかとなった。今後、得られた結果の再現性を確認し、学会および論文にとりまとめる予定である。硝子粒耐性による品種・系統の分類では、いくつかの候補が得られた。今度、再試験を行い、使用材料を決定する。 2.硝子粒発生メカニズムの解明(予備試験)-(硝子粒発生に追肥時期が与える影響)では、止葉展開期、出穂期、出穂10日後、出穂20日後に追肥を行い、硝子粒の発生状況を調査した。硝子粒率が最も高くなったのは、出穂期~出穂10日後であった。この結果によって、研究上、硝子粒を発生させることを目的とした場合最も効果的な時期であることが判明した。 平成22年度の研究によって、硝子粒の発生メカニズムを解明する際にターゲットとなるタンパク質、硝子粒が発生しやすい品種および、発生しにくい品種の候補が示され、硝子粒発生をコントロールするための施肥時期が明らかになった。これらによって、硝子粒の発生メカニズム解明のための実験方法を構築することができた。
|