2011 Fiscal Year Annual Research Report
着粒位置別のタンパク質蓄積パターンからみた大麦硝子粒の発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
22780016
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
池永 幸子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・水田利用研究領域, 任期付研究員 (10546914)
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Keywords | オオムギ / 硝子粒 / 貯蔵タンパク質 |
Research Abstract |
オオムギ粒へのタンパク質の蓄積パターンを解析することによって、硝子粒発生メカニズムの解明を試みた。その結果、北陸地域で硝子粒になりにくい品種としてシルキースノウ、北陸皮42号、なりやすい品種としてファイバースノウ、ミノリムギを選び出した。これらの材料を供試して、出穂期に硫安施肥を行って硝子粒が発生する場合には、硝子粒が発生しない場合と比較して出穂10日以降に胚乳へのタンパク質の蓄積量が、急激に増加することを示した。またその際には、可溶性タンパク質の蓄積量には、硝子粒と正常粒に違いは見られない一方で、分子量が37-52kDa領域の貯蔵タンパク質量が硝子粒で急激に増加していた。従って、硝子粒は、総タンパク質量が増加することで発生するが、特に貯蔵タンパク質のうち、37-52kDaのタンパク質が多く蓄積することで発生していることが示唆された。この現象は、硝子粒の発生しやすさに関係なく、シルキースノウ、北陸皮42号、ファイバースノウ、ミノリムギともに同様の傾向がみられ、異なる栽培条件下で発生した硝子粒についても同様の傾向がみられた。 これまで硝子粒とタンパク質の蓄積との関係を詳細に調査した事例はなく、これらの結果は、いずれも新規に明らかになった結果である。タンパク質の蓄積パターンと硝子粒の発生を示した結果から、登熟後半に蓄積する貯蔵タンパク質の蓄積量が低いオオムギほど硝子粒が発生しにくいことが示唆され、今後の品種選抜に有益な情報を示したと考えられる。また、登熟後半にオオムギ粒への貯蔵タンパク質の蓄積が抑えられるような施肥体系が、硝子粒の発生を抑制する可能性も示唆された。
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