2010 Fiscal Year Annual Research Report
種子の発育とGA供給からみたモモ果実の開花日および発育日数と品質の関係
Project/Area Number |
22780023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福田 文夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (60294443)
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Keywords | 果実品質 / モモ / 開花日 / ジベレリン / 果実発育日数 / 糖含量 |
Research Abstract |
モモ果実の大きさや糖度は変動しやすいことが知られており、同一樹内でも品質変動が認められるが、この変動を招く要因に関して、これまで知見がほとんど得られておらず、果実品質の安定化において重大な支障となっている。そこで、樹内で開花日の差が大きいことに着目し、開花日および果実発育日数と果実品質との関係を調査するため、中生品種の'紅清水'と中晩生品種の'清水白桃'で、それぞれ樹内のいずれの部位でも開花していた5つまたは4つの日を2,3日間隔で選び、その果実をラベルして、果実肥大や収穫果の品質を調査した。その結果、開花日が異なると、果実肥大様相が大きく異なり、開花日の早い果実は肥大が緩慢となった後に収穫されたのに対し、開花日の遅い果実は肥大が収穫直前まで継続した。収穫果の果実重には大差なかったが、開花日が遅い程、果汁糖度の高い果実の割合が増加した。また、開花から収穫までの日数を示す果実発育日数で比較すると、発育日数が短い程、糖度が高くなる傾向が認められた。果汁糖度が13%以上である高糖度果と10%未満である低糖度果の間で肥大様相を比較すると、高糖度果は低糖度果と比べて第1期末以降果実肥大が優れるとともに、維管束近傍の果肉細胞が大きかったことから、糖蓄積に第1期末以降の果実肥大および果肉細胞の成長が関係した。従って、開花日が遅いと、第1期末からの果実肥大能が優れるために、糖蓄積が高まると推察された。モモ'清水白桃'において、第2期のジベレリン含量を調査したところ、胚の大きさと種子中ジベレリン含量との間に正の相関が認められ、胚の成長が良好な区では、第2期に生理的落果の発生が少なく、果実発育第3期に早く移行した。これらのことから、種子の発育が良好に進むことは、ジベレリンの生成を介して、第2期までの着果を継続するとともに、第3期以降の果肉細胞の肥大や糖蓄積に密接に関係すると考えられた。
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