2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーキャプチャーマイクロダイセクションを用いた花弁内組織別遺伝子発現解析
Project/Area Number |
22780030
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
原田 太郎 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 共同研究員 (80468256)
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Keywords | 遺伝子 / 園芸学 / 開花 / 花き / マクロアレイ |
Research Abstract |
1.LCMによる花弁内組織の回収と開花関連遺伝子の組織特異的発現の実証 レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を用いて、カーネーション展開期花弁舷部の表皮組織、柔組織および維管束から細胞を回収し、得られた細胞からRNAを抽出した後、cDNAを合成した。RT-PCRにより、花弁生長との関連が予想される16遺伝子について、上記組織間での発現レベルの比較を行った。さらに、リアルタイムRT-PCRにより、上記組織間でのDcLTP1、DcLTP2(脂質輸送タンパク質遺伝子)およびDcPIP(アクアポリン遺伝子)の発現レベルの比較を行った。DcLTP1およびDcLTP2の発現レベルは、当初予想していた通り、表皮組織において顕著に高いことがわかった。また、DcPIPの発現レベルは、柔組織で高い傾向にあった。 2.マクロアレイ解析による花弁屈曲に関与する遺伝子の探索 マクロアレイ解析により、展開期花弁の屈曲部の向軸側柔細胞および背軸側柔細胞の間で発現レベルに差のある遺伝子を探索した。その結果、カーネーション由来の646件のcDNAのうち、発現レベルが背軸側に比べ向軸側で3倍以上高いもの((1))が28個、高い傾向のもの((2))が51個、向軸側に比べ背軸側で3倍以上高いもの((3))が6個、高い傾向のもの((4))が342個見いだされた。このことから、展開期花弁屈曲部柔細胞において多くの遺伝子の発現に軸性があることが明らかになった。また、このうち、花弁屈曲との関連が予想される(1)のグループの中には、DcLTP1およびDcLTP2が含まれていた。 本研究で得られた成果は、花弁での遺伝子発現における組織特異性および軸性に関する新たな知見を加えるものであり、開花過程の分子機構の解明に寄与し、園芸学的、植物生理学的に重要な意義があると考えられる。
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