2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22780034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平野 智也 独立行政法人理化学研究所, 社会基盤技術開発プログラム, 研究員 (80455584)
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Keywords | 花粉 / 雄原細胞 / 精細胞 / EST解析 / 遺伝子発現 / 重イオンビーム / DNA2本鎖切断 |
Research Abstract |
キルタンサスでは、花粉管伸長過程で一組の精細胞が異型化し、その異型化には微小管が関与することが明らかとなっている。異型化は雄原細胞分裂直後の表層微小管の再構成時に生じることから、異型化のKey遺伝子の発現は精細胞形成時もしくは形成直後であると推定される。精細胞形成の基盤情報を得るために、花粉培養6時間の雄原細胞および12時間の精細胞形成期においてRNA抽出し、増幅後にcDNAライブラリーを作成しEST解析を行った。それぞれのライブラリーをGS juniorによりシーケンシングし、培養6時間においてisotig 529個、培養12時間においてisotig 1563個取得した。各isotigのアノテーション付けを行ったところ、培養12時間では細胞周期関連遺伝子の発現が確認されたことから、ライブラリーには雄原細胞由来のcDNAが含まれると推測される。現在更に多くの配列情報を得るためにシーケンシングを行っており、それぞれの時間で発現する遺伝子を比較することで精細胞形成時に発現する遺伝子の網羅的情報が得られると考えられる。 花粉管内における雄原細胞の分裂制御機構を明らかにするために、DNA二本鎖切断を高頻度に誘導する重イオンビームをキルタンサス成熟花粉に照射し、花粉管内の雄性配偶子の挙動を本年度も引き続き調査した。これまでに花粉管伸長過程においても雄原細胞に生じたDNA損傷が細胞周期のチェックポイント機構により監視されていること、また高線量を照射した雄原細胞では微小管の配向は精細胞であるが染色体の分配が起こらない非還元性精細胞を形成することが明らかとなった。今後精細胞異型化機構および分裂制御機構を精査する上で、正常な精細胞と非還元性精細胞というように比較可能な材料が得られたことは研究の遂行上意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において目標としていた精細胞形成時に発現する遺伝子情報の一部が得られており、花粉の重イオンビーム照射実験については計画していた実験がほぼ終了している。従って、順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
花粉培養時間として2試験区設け、それぞれの遺伝子発現情報が得られているが、その量は十分とは言えない。従って、来年度に更なる解析を続け情報量を増やすことで、試験区間で発現に差がある遺伝子がリストアップ可能となる。遺伝子発現情報を得るのと並行して、現在得られている遺伝子の発現部位の確認等を行うことで研究の効率化を図る。
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Research Products
(4 results)