2011 Fiscal Year Annual Research Report
化合物探索から単離したサリチル酸アゴニストを用いた植物免疫ホルモンの受容機構解明
Project/Area Number |
22780036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能年 義輝 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70332278)
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Keywords | 植物 / 病害抵抗性 / ケミカルバイオロジー / 薬剤反応性 / 植物免疫 |
Research Abstract |
本研究では、独自開発した薬剤探索系から単離された植物免疫活性剤の一つで、植物免疫応答を司るホルモンの一つであるサリチル酸のアナログとして作用するCB_6(ImprimatinC1と改名)を利用したサリチル酸受容分子の同定を目的とした。ImprimatinC1を架橋した光反応性ビオチン化プローブを作製し、シロイヌナズナ抽出タンパク質からの薬剤結合タンパク質の精製を計画したが、ImprimatinC1をビオチン化する工程がうまく進まなかった。これはImprimatinC1の遊離アミノ基の反応性が低いことに依るものであった。また、ImprimatinC1の類縁体の構造活性相関解析から、ImprimatinC1は生体内での代謝を受けて生じた4-chlorobenzoic acid (4-CBA)が活性本体として機能していることを明らかにした。 これらの結果は、生化学的アプローチが機能しないことを示していた為、遺伝学的手法に切り替えた。ImparimatinC1に非感受性を示すシロイヌナズナEMS変異体の探索を進め、14個の候補株を得ることに成功した。これらのうち3変異体は恒常的に防御応答を活性化していることを見出した。遺伝子発現解析の結果、これらの3変異体はNPR1依存的経路が活性化されており、そのうち1つはNPR1非依存的経路も活性化されていた。戻し交配世代からの変異個体の選抜を終え、次世代シークエンサーによる変異点同定を進めている。 ImprimatinC1はサリチル酸合成を正にフィードバック制御する活性、及びジャスモン酸シグナル伝達に対する拮抗阻害活性がなかった。つまり、サリチル酸が持つ多面的機能のうち防御遺伝子発現誘導能のみを模倣することがわかった。また、これらの薬剤は防御遺伝子発現に関してサリチル酸のパーシャルアゴニストとして作用することが明らかとなり、サリチル酸受容分子同定のツールとしての有用性が確かめられた。今回、ImprimatinC1は4-CBAのプロドラッグであることが明らかとなったが、その化学構造は農薬等の生理活性物質の持続性をコントロールする為のプロドラッグ化に応用できる可能性がある。
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[Journal Article] A chemical biology approach reveals an opposite action between thermospermine and auxin in xylem development in Arabidopsis thaliana2012
Author(s)
Yoshiomto, K., Noutoshi, Y., Hayashi, K.I., Shirasu, K., Takahashi, T., Motose, H.
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 53
Pages: 635-645
DOI
Peer Reviewed
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